「換気」で化学物質の濃度を下げる
前回の続きです。
壁紙の他、柱や扉、フローリング、建具などにもホルムアルデヒドを放散する接着剤は使われています。またホルムアルデヒド以外にも、塗料などに含まれるトルエン、キシレンや、エチルベンゼン、スチレン、アセトアルデヒドの5種類の化学物質もシックハウス症候群を引き起こす原因として考えられますので注意が必要です。これらの濃度をできるだけ下げておくことが、シックハウス症候群を防ぐ第一歩だといえます。
建売住宅を選ぶ際のチェックポイントのひとつは、換気性能です。
新築やリフォーム直後の家は、比較的化学物質の濃度がやや高い状態になります。接着剤や塗料などが乾燥していない状態で窓やドアを閉め切っていると、揮発した化学物質の気中濃度が高くなりますが、十分な換気性能があれば濃度を下げていくことができます。
測定器で測ると、最初はやや基準値を上回る場合もありますが、換気をよくすることで、確実に数値は低くなるはずです。一度乾燥させてしまえば、新たに放散することはないので、早く乾燥させてしまうと考えていただければよいでしょう。夏場に住宅を購入する場合は、高温多湿のために化学物質の放散量が増えるので特に換気に注意する必要があります。
住宅の換気性能は、住み始めてから新たに発生する化学物質を排除するためにも重要な意味を持ちます。
シックハウス症候群は、複数の要素が絡み合って発生することもあります。タバコやペット、芳香剤や防虫剤、整髪料など、暮らしの中には化学物質の発生源がさまざまありますので、しっかりと換気できなければいずれ体に不調が現れる可能性があるのです。
家具の接着剤がシックハウス症候群を誘発する可能性も
住宅の建材については、化学物質の使用が極力制限されていますが、入居後に購入する家具は要注意です。特に海外で作られたものについては、規制が行われていないのが現実です。
これは私の経験ですが、あるメーカーのテレビボードを購入したところ、段ボールを開封した途端、目に染みて涙が出ました。安価で品質の悪い接着剤を使って作られているのだと思いますが、これは買ってみないとわかりません。
安いだけの理由があったのだと後悔しましたが、後の祭りです。本来、入っているはずのホルムアルデヒドを吸着させる紙が入っていなかったのも一因だと思います。
同じようなことは、家具だけでなく、カーペットや寝具、カーテンなどにも起きています。材料や製作の工程で使われた化学物質が残留したままで使うことで、シックハウス症候群を引き起こすこともあります。また、家具や床に使うワックスにも化学物質を発散するものがあるようです。
他にも、最近ブームの“香り”にともなって、さまざまな柔軟剤や芳香剤、消臭剤などが発売されています。しかし、香りを生み出す化学物質もアレルギーを引き起こす原因になりますので、使い方には気配りが必要です。