化学物質過敏症の発症者数は全国で100万人!?
ポイント③シックハウス症候群を引き起こす有害物質
冒頭に述べた住宅における健康被害の代表格、シックハウス症候群。その原因となる有害物質の有無を見抜くことも大切なチェックポイントのひとつです。
シックハウス症候群は、住宅内の空気中に含まれる化学物質によって体調が悪くなるものです。化学物質過敏症支援センターによれば、シックハウス症候群をはじめとした化学物質過敏症の発症者数は全国で100万人という報告がなされており、決して安心とはいえません。
特に新築やリフォーム直後の家は化学物質の濃度がやや高い状態になるので、これから建売住宅を購入しようと考えている皆さんにとっても他人事ではないでしょう。
シックハウス症候群の症状には、目のかゆみ、痛み、鼻づまり、喘息、のどの痛み、吐き気、じんましん、頭痛、目まいなど、極めて多岐にわたり、風邪と勘違いしてしまうこともよくあります。
住宅内の空気に放出された「ホルムアルデヒド」が原因
有害な化学物質が発生してしまう原因はさまざまですが、新建材と呼ばれる建材が使われるようになったこと、そして住宅の高気密化によってそれらの化学物質が充満してしまうことが主因であると考えられます。
昔ながらの日本の家は、高温多湿の日本の気候に合わせた木と紙、土でできていました。呼吸する天然素材を使うことで、通気もとれるように造られていたということです。
しかし、現代においては、建材の変化や省エネの観点から、家の造りそのものが変わってきました。気密性を高くしたことで、冷暖房効果も高く、外界の天候や音の影響を受けにくくなっています。ライフスタイルの多様化にともなって、換気が不足しがちなことも、私たちが家の中の環境からの影響を受けやすくなった理由のひとつでしょう。
シックハウス症候群を引き起こす化学物質として、よく知られているのはホルムアルデヒドです。現在は、2003(平成15)年に定められた改正建築基準法によって、ホルムアルデヒドの放散する接着剤を使った建材の使用には制限がなされていますが、かつては頻繁に健康被害が報告されていました。
建材はホルムアルデヒドの放散量によって等級が付けられており、最も放散量が少ないのが「F☆☆☆☆(フォースター)」です。F☆☆☆☆の建材であれば特に内装への使用に制限はありません。やや放散量が多い「F☆☆☆(スリースター)」「F☆☆(ツースター)」になると使用制限がかかり、ランク外の建材は内装仕上げに使うことができません。
このように法律で厳しく規制されているわけですが、たとえF☆☆☆☆であってもホルムアルデヒドの放散量はゼロではないので、もとからアレルギー症状のある人などは注意が必要です。
ホルムアルデヒドの量は専門の機器を用いて測定することが可能ですから、気になる場合は建売住宅の購入前に専門家に計測してもらうとよいでしょう。
厚生労働省などでは、居室内におけるホルムアルデヒドの安全な気中濃度として0.08ppmという指針を設けていますが、仮にこの値を超えている場合であっても特に罰則などはありません。ですから、住宅購入者が自らチェックして健康被害のリスクを避けることが大切なのです。