前回は、保険アドバイザー選びのポイントとして、スタッフの待遇から保険代理店の問題を見極める方法を取り上げました。今回は、海外の生命保険への理解について考察します。

「海外保険商品」の取り扱いには厳しいルールが存在

前回の続きです。

 

⑩海外の生命保険の取り扱いに注意しているか

 

相続専用保険や資産運用型保険とよく比較される海外の生命保険は、その取り扱いに関して、厳しいルールが設けられています。

 

海外の生命保険についてのルールの代表的なものに、「保険業法186条」があります。

 

日本に支店等を設けない外国保険業者は、日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約(政令で定める保険契約を除く。次項において同じ。)を締結してはならない。 に

 

このように、許可を得ない限り、海外の保険商品について、日本に居住する者と契約をしてはいけないことが定められています。そして、「保険業法316条」には、保険業法186条第1項に該当する者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 

という、懲役もしくは罰金刑という罰則が定められています。

条例を見る限り「許可は出ない」と思ったほうが無難

例外として、金融再生委員会の許可があれば認められることになってはいますが、次のような事実があれば許可してはならないとされています。

 

一.当該保険契約の内容が法令に違反し、又は不公正であること。

 

二.当該保険契約の締結に代えて、保険会社又は外国保険会社等との間において当該契約と同等又は有利な条件で保険契約を締結することが容易であること。

 

三.当該保険契約の条件が、保険会社又は外国保険会社等との間において当該契約と同種の保険契約を締結する場合に通常付されるべき条件に比して著しく権衡を失するものであること。

 

四.当該保険契約を締結することにより、被保険者その他の関係者の利益が不当に侵害されるおそれがあること。

 

五.当該保険契約を締結することにより、日本における保険業の健全な発展に悪影響を及ぼし、又は公益を害するおそれがあること。

 

これらの条文を見ていると、日本の生命保険産業を非常に厚く保護しており、基本的には許可が出ないと思ったほうがよさそうです。ただし、海外赴任等で海外に居住している場合には、日本の居住者ではないため、海外の保険はよく活用されています。

 

厳格なルールがあるにも関わらず、一部の保険代理店や税理士事務所などでは、相続対策や資産運用の提案として、海外の保険を紹介しているところがあります。

 

これまで、契約者が罰せられた事例はありませんが、提案する側が摘発されたケースは数多くあります。提案を受けた場合は、こういったルールを知っておかなければ、法令違反に加担することになってしまいます。

 

提案する側は、「バレないです、大丈夫です」「5%の複利で積立できます」などと、安易に提案してくることもあると思いますが、最近、海外保険を解約して、日本に送金したら、国税局からすぐに連絡が入ったという事例も出てきています。今後ますます、海外資産に対する監視は強化されることが予想されますので、ルールを遵守した上での利用が必要です。

 

ここまで見てきた「10カ条」については、最低限クリアしておきたい部分です。ぜひ10カ条をもとに、良きアドバイザーと出会っていただければと思います。

オーナー社長のための「法人保険」活用バイブル

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幻冬舎ゴールドオンライン編集部

幻冬舎メディアコンサルティング

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