今回は、中小企業向けの融資担当の銀行員が、担保設定の「順位」ではなく「有無」にこだわる理由を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「担保設定ありき」の銀行の営業担当

前回の続きです。

 

「担保に頼らない融資をせよ!」

 

「過去に設定した担保も外しなさい!」
と、金融庁は銀行に指導しています。
しかし、実際には、
土地や建物を担保に差し出し、
抵当権を設定されている、
というケースが、まだまだ多いのです。

 

抵当権設定された物件の登記簿を見せてもらうと、
ひとつの土地に、銀行や保証協会などが
ズラズラズラッと、並んでいることがあります。
第5順位、第6順位の設定をみかけるのも、
さほど珍しくありません。
5番目や6番目の順位で、担保設定していても、
取り分なんてないんじゃないか、
と、思っていました。

 

で、ある会社の銀行交渉の場で、
実際に銀行員に尋ねたことがります。
“こんな低い順位で担保設定しても、意味ないでしょ?”
その方は、地銀の支店長でした。
その支店長は言いました。
“それが、意味あるんですよ。
 順位が何番目だろうと、担保設定さえあれば、
 銀行内での審査を通しやすいんですよ。”
と言われました。

 

要は、営業マンとして、社内稟議を通しやすいわけです。
だから、順位なんて、どうでもいいのです。
担保設定の有無が、彼らには、問題なのです。

「根抵当」契約があちこちの銀行で結ばれる理由

“それに、5番目だろうが6番目だろうが、
 担保物件を処分するには、全員の同意が必要になります。
 なので、上位のライバル銀行に対して、
 多少の牽制が効くんですよ。”
というわけです。
つまり、順位が下でも、いっちょかみすることで、
担保対象物件を、ライバル銀行の好きなようにはさせない、
ということです。

 

だから、ひとつの銀行が担保を設定した物件には、
ライバル銀行は是が非でも、担保設定に絡んでおきたいのです。
1番手が「根抵当」なら、2番手以降も、「根抵当」にしたがります。
銀行はとかく、横並びにしておきたいのです。
で、抵当設定に無頓着な経営者だと、
「根抵当」契約が、あちこちの銀行で結ばれてゆきます。

 

前回申し上げた通り、「根抵当権」契約は、
解除をするのに、ただの「抵当権」契約よりも、実にやっかいです。
その厄介ごとの種が、増えてゆくのです。
特に、オフバランスによる資産圧縮など、
思い切った財務改善をしようと考えたときに、
その厄介ごとが、芽をだしてくるのです・・・。

 

(続)

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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