「経営主体=個人」という構造が原因
前回は「わかりやすい経費」について説明させていただきました。これらの経費は不動産経営との結びつきが強く、その発生原因から考えても「必要経費」とすることへの疑問は少ないものだと考えられます。
では、「わかりにくい経費」というものはなぜ生まれてしまうのでしょうか。それは、「経営主体=個人」という構造が原因となります。
個人の経営主体のことを税務の分野では「個人事業主」と呼びます。これは文字通り「個人の事業主」という意味です。「個人事業主」は、「営利を目的とする」性質と「生活し、消費する」性質を同時にもちます。
この「生活」にかかる部分というのは「必要経費」には該当しません。毎日の食事や被服費は営利に付随するものではないからです。この「営利」、つまり「不動産経営」にかかわる出費と「生活」にかかわる出費が混在するのが「わかりにくい経費」というものが生まれる原因となるわけです。
目的や内容の説明が必要な経費=わかりにくい経費
以下に「わかりにくい経費」となりそうなものを列挙してみましょう。
●パソコン代
●セミナー代
●通信費
●書籍代
●スーツ代
●接待交際費
●旅費交通費
●福利厚生費
いかがでしょうか。これらの出費は事業を始めていない方でもすでに支払っているものがほとんどだと思います。一言に「交通費」といってもお勤めの会社への交通費は賃貸経営の「必要経費」とはなりませんし、所有する物件への交通費は賃貸経営の「必要経費」ということもできるかもしれません。この、「目的」や「内容」の説明がなければ「必要経費」とならないようなものが「わかりにくい経費」となるのです。
ここからは「わかりにくい経費」についての「検証」に加え、それらを「必要経費」とするための「対策」について説明していきたいと思います。