今回は、株式で個人投資家が勝つための「すき間」の探し方について見ていきます。※本連載は、投資顧問会社「林投資研究所」代表取締役の林知之氏の著書、『プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践』(マイルストーンズ)の中から一部を抜粋し、個人投資家のための「うねり取り」実践のポイントを紹介します。

ちまたには「安っぽい予測法」があふれているが・・・

この計算式を用い、シグナルが出たら買え──。ちまたには、安っぽい予測法がいくらでも転がっている。

 

コドモだましのものにも、オトナの需要があるのだ。相場の魅力かカネの魔力か……。損をして退場させられる投資家、塩漬けを抱えて立ち止まる投資家が後を絶たない構造だから、同じ人たちが売買し続けているように見えても、水面下では参加者の入れ替わりが激しい。

 

初心者が飛びつくネタにも、商業的な価値があるということだ。

 

感心できない投資情報を挙げれば枚挙にいとまがないので、大まかなポイントを示しておこう。

 

まずは、前にも述べたように「天底を当てよう」としているのが特徴だ。「天底が当たります」といったアピール、あるいは、そう感じさせる説明が多い。明日から儲けたいと考える投資家には、これほど響くものはない。

 

もうひとつ特徴的な部分は、予測法に偏っている点だ。投資家は常に自由なので、想像する以上に“マニュアル化”された行動が求められている。にもかかわらず、「予測法」「ポジション操作法」「資金管理法」の3セットを構築せず、「当たりまっせ!」とばかりに予測法だけに偏り、予測法こそが重要だと考える投資家が興味をもつ。

 

コンピュータが発達した現在、“トレードシステム”もふつうに市販されている。「システム」というからには、少なくとも「予測法」と「ポジション操作法」の2つはセットになっているはずだが、ヒドいものは“仕掛けのみ”が指示され、“あとは勝手にやれ”式の尻切れトンボになっている。

 

また、それなりにバランスが取れている結果、ひとつの手法として成立しているものでも、肝心のロジック(判断の基準、理論、ルール)が公開されていないのがふつうだろう。

 

すると、そのロジックが合うときは利益、合わないときは損、という波が発生し、そんな売買結果に一喜一憂するだけなのだ。残念ながら、手法や技術を高めたり、プレーヤーとしての経験値を積み重ねることにはつながらない。

明確な指針がほしい人は「中源線建玉法」の検討を

では、うねり取りを行うには、本連載で示したことを理解したうえで実践し、悶々としながら努力を続けなければならないのか──最初の答えは「イエス」だ。

 

多くの人が自由に参加して“カネを取り合う”のが株式市場だ。規模が大きいから、個人投資家のささやかな資金、つまり多くても数億円を元手に派手な利益を上げても、市場はビクともしない。ここに、個人投資家が勝つためのすき間がある、ゆとりがある、だから本連載の内容が実践的な意味をもっているのである。

 

それでも、単独行動はハードルが高い、なにか明確な指針がないかという人は、次章(※書籍参照)で紹介する「中源線建玉法(ちゅうげんせんたてぎょくほう)」を検討してほしい。

 

うねり取りとは、数カ月単位の上げ下げを狙う売買だ。その数カ月単位のトレンドを、終値の折れ線チャートを用いたシンプルな分析で実行しようという“機械的売買法”が中源線建玉法だ。

 

林投資研究所のオリジナルで、中国の古書にあった記述をもとに私の父・林輝太郎がまとめ上げた手法だ。私自身も現在、研究と解説に力を入れている。

 

中源線は、予測法の部分でも、決して「天底を当てよう」などとしていない。むしろ、当てることを“放棄している”と説明できるほど、現実を無視せずにトレードと向き合う実践家の本音が、シンプルなルールに落とし込んであると思う。

 

もちろん、万能のものなんて存在しない。“打ち出の小槌”を求める気持ちは捨ててほしい。

 

だから、ここまで述べてきたような感覚を重視した取り組み方を、おろそかにしてほしくない。機械的な判断基準を用いる場合でも、自らの意思で進む気概を大切にしてほしい。

 

そんな自立心があれば、中源線建玉法が大きな助けとなり、トレードを深く理解する道筋が生まれるはずだ。

プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践

プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践

林 知之

マイルストーンズ合資会社

価格の自律的な動き、つまり自然に発生する変動を利用して利益を上げる「うねり取り」は、数多くのプロ相場師が好んで利用している。この「うねり取り」による売買法を基本から実践まで、幅広く、丁寧にわかりやすく解説したの…

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