旧借地法で守られた借地権は「借り手側」に有利
Q:買いたい物件が借地権物件の場合どう判断する?
都内で高利回りの物件を探していると、「借地権」と書かれているものが多くあります。「借地権」とはどのような権利でしょうか。また、借地権の物件は、投資対象として考えてもよいのでしょうか?
A:高利回りが狙えるため、融資がつくなら狙い目
(旧法)借地権とは借地権の物件は所有権の物件に比べて、利回りがおよそ2~3%前後は高くなるのが一般的です。好立地にある物件も多く、融資がつき条件が合うなら、投資対象として狙い目だといえます。
借地権とは、分かりやすくいうと「土地は取得せず地主から土地を借りて、その上に建物を建てて使用できる権利」のことです。登記できるのは建物だけで、売買する場合は地主の許可を得て「借地権付き建物」を取得する形になります。地主の承諾は必要ですが、所有権と同じように借地権物件として売買できますし、アパートを建てて賃貸することもできます。
旧借地法により強く守られた借地権は、借り手側に有利な権利です。定期借地権でない限り、土地の所有者(地主)の一存で更新を拒絶されることは通常ないため、数世代にわたって借地に住み続けている人も多く、所有権に近い権利だといっても過言ではないでしょう。具体的には所有権は借地権と底地権の二つで構成され、それぞれの割合が定められています。
一般的には借地権の割合が6~7割で、底地権の割合が3~4割です。つまり、我が国においては、借りている権利のほうが土地を所有している権利よりも強くなっているのです。「土地は一旦貸したら返ってこない」とは、このことを嘆く地主さんの言葉として知られています。
そのため、平成4年に地主側の権利を強めた新法借地権(借地借家法)が施行され、旧法借地権(借地法)は廃止されました。新法借地権には普通借地権と定期借地権があり、定期借地権の場合は基本的に更新ができず、期限が来たら更地にして地主に返還しなければなりません。しかし、新法施行前に借地であった物件には、現在でも旧法借地権(借地法)が適用されています。本連載では、より借地人の権利の強い「旧法借地権」の物件を投資対象として解説します。
所有権に比べて融資が受けにくく、流動性も劣るが…
借地物件にはデメリットもいくつかあります。まず、所有権に比べて融資が受けにくく、流動性が劣るということです。
ただし逆にいえば、融資が受けづらいからこそ競合が少なく、利回りが高くなっていると考えることもできます。私の会社でも借地物件を保有し、売買の仲介の取引も何件も行っていますが、借り主の属性による差はあるものの、たいていの金融機関は借地物件でも融資をしてくれます。融資さえ受けられれば、借地権の物件は非常にメリットの大きい物件です。
ただ、融資を受けるには、地主から「承諾書」に判を押してもらうことが条件になります。承諾書の内容は「地代の滞納があった場合には金融機関に通知しなければならない」
というものです。地代が滞納された場合にいきなり借地契約を解除されてしまっては、金融機関としては担保を失ってしまうので、それを避けるためのものです。この承諾書に土地の所有者が捺印し、金融機関に提出します。
しかし、地主のなかには、絶対に「承諾書」には判は押さないという人もいるので、早急に確認することが最善の手でしょう。一般的に好ましいのは地主がお寺の物件です。お寺はいわゆる「ビジネス」として土地を貸していますので、お金さえ払えば感情の問題がなくスムーズに取引ができます。