持っている権利は単独で行使可能
共有名義不動産に関する権利は、他の共有者に対してだけでなく外部の第三者に対しても主張することが可能です。
まず、共有名義不動産について自己が持分を持っていることを主張できますし、裁判でその確認を求めることも認められています。
それから、第三者が共有名義不動産を不法に占拠するなど、所有権を侵害する行為を行っている場合には、それをやめるように求めたり、不動産の返還を求めたりすることもできます。また、不動産に関して真実とはいえない登記がなされている場合には、その抹消を請求することもできます。
以上の権利はいずれも持分を持つ共有者が単独で行使できます。
「損害賠償の請求範囲」は自己の持分割合に限定
また、共有名義不動産に対して不法行為が行われたような場合には、損害賠償も請求できます。したがって、仮に共有している建物が放火された場合には、建物に生じた損害を賠償するよう求めることができます。
ただし、損害賠償の請求ができる範囲は自己の持分の割合に限定されます。たとえば、3000万円の市場価値の共有建物が放火されて全焼した場合、持分が3分の1の共有者が、放火した者に対して請求できる損害賠償金の額は、3000万円ではなく1000万円になります。
一方、共有関係の主張、たとえば甲不動産がX、Y、Zの共有になっていることを裁判で主張するような場合には、共有者全員が訴訟に参加する必要があります。共有関係の有無や内容は共有者全員が合意している必要があり、もし一部の共有者に対してのみ判決がなされて裁判が確定してしまうと、他の共有者が不利益を受けるおそれがあるからです。