相続発生のたびに増加する「新たな共有者」
前回の続きです。
以上のような共有名義不動産に関するトラブルや問題は、世代を越えて引き継がれていく可能性が高いことに注意しなければなりません。
まず、共有名義不動産の共有者が死亡したとき、相続人がいない場合には、民法の規定に従って亡くなった共有者の持分は他の共有者に帰属します。たとえば、甲土地について共有者のX、Y、Zが3分の1ずつ持分を持っている状態で、Xが相続人のいないまま死亡した場合、その持分は、Y、Zのものになります。
一方、共有者が死亡したときに相続人がいる場合には、その持分は相続の対象になります。この例でいえば、XにX1、X2、X3という相続人がいる場合には、X1、X2、X3のそれぞれにXの持分が相続されることになります。その結果、甲土地は、以前からの共有者であるY、Zと、新たな共有者であるX1、X2、X3の共有になるわけです。
また、この後、Y、Zがそれぞれ死亡したときに相続人がいれば・・・さらにその後、X1、X2、X3がそれぞれ亡くなったときに相続人がいれば・・・同様に各自の持分は相続され、新たな共有者が加わっていくことになります。
未解決のトラブルも、新たな共有者たちに引き継がれ・・・
このように、共有名義不動産の持分は相続が発生するたびに細分化され、共有者の数は際限なく増えていく可能性があります。そして、相続前に解決されなかったトラブルは相続後も引き継がれるため、共有者の数が増えていくということは、トラブルの当事者も増えていくことを意味します。
一般論として、当事者の数が増えれば増えるほど、トラブルの解決は困難になっていきます。このように、共有名義不動産をめぐる問題は時間が経てば経つほど拡大し、泥沼化していくことが避けられないのです。