正攻法では、大手や海外の量産品に勝てない
昔ながらの地場産業は、生産効率を上げることで商品価格を下げるよりも、品質の高さを重視しています。
しかし、現代のニーズとはかけ離れた「生産性よりも品質を追求する」正攻法では、大手や海外の量産品に勝つことができません。ムダの多い作業工程、停滞する商品開発、のんびりした社風、そして、取引先や業者との馴れ合い――。こうした企業体質から抜け出すことができずに、じわじわと倒産に追い込まれていくのです。
すでに、状況は深刻です。全国の家具・装備品製造業の出荷額は、経済産業省の調べによると1990年には約3兆3900億円だったのに対し、2010年には約1兆3660億円と6割近く減っています。また、16万人以上いた従業員数も半数以下になっています。
ニッチな市場の開拓や、独自商品の開発が必要に
こうした厳しい経営環境の中で地場産業が生き残るためには、大手や海外製品の寡占の隙間をぬって、なにかニッチな市場を開拓したり、大手や他社にはない独自の技術や商品を開発したりと、ドラスティックな改革を行うほかありません。
本来、地場産業はどんな業種であれ、用いる原材料や製造方法に個性があり、完成品にもそれぞれの個性があるものです。
たとえば陶磁器であれば、原料である陶土の性質は産出地によって異なり、土の性質が違えば焼き方や仕上げの仕方など、製法も大きく異なります。そのため、同じ陶磁器をつくっている地場産業が全国各地にあったとしても、それぞれに歴史があり、その歴史の中で発展してきたのです。
独自の技術で商品をつくり続けているという点では、地場産業のビジネスはしっかりと差別化ができているともいえます。ただ、それらは現代のニーズに合わせてつくられたものではないので、消費者のサイフを開くまでには至らないのです。