Eラーニングは「役に立たない」「つまらない」!?
今回からは、研修当日の成果を最大化するという視点で、どのように準備し、実施していくかについてお伝えしていきます。
Eラーニングに何が適しているかを考えるということは、ある意味、限られた集合研修の時間をどう有効活用するかという視点で考えることでもあります。
15〜20年くらい前に、日本でもEラーニングとIDの考え方が流行した時期がありました。しかし、Eラーニングといっても、講義の動画を撮影したものや、ただ読んでいるだけのナレーション付きのパワーポイントをそのままWEBに上げたものばかりという状況で、システムを有効に活用できていたとはいえませんでした。
そのような背景から、人材教育の関係者の中には、「Eラーニングは役に立たないもの」「つまらないもの」という印象をお持ちの方も多いのではないかと思います。
しかし、Eラーニングは、しっかりと作り込み、うまく活用すれば非常に有効なツールです。事実、欧米では、Eラーニングは当たり前のように活用されてきました。そして、IDの考えがインストールされた効果的、効率的、魅力的なEラーニングは多数存在し、活用されています。
重要なことは、Eラーニングを適切に用いるということです。Eラーニングは手段の1つです。Eラーニングありきでなく、時には紙媒体の資料を郵送することの方がいい場合もありますし、Eラーニングシステムにこだわらず、メールが向いている場合もあります。では、どのようなものがEラーニングに適しているのでしょうか?
職種によっては「運動技能」もカバー可能
まずは、反転学習やブレンディッドラーニングでも少しご説明した知識のインプットです。指定された言語情報を覚える際にEラーニングは有用です。
学習目標は、「知識」・「運動技能(スキル)」・「態度(マインド)」に分けることができ、さらに「知識」は、暗記の「言語情報」と応用の「知的技能」に分けることができます(下の図表を参照)。
[図表]学習目標の種類と評価
多くの場合「言語情報」は、研修前にEラーニングなどによりインプットしておいて欲しい内容です。対して、「知的技能」は、集合研修でディスカッションをして知恵を出し合うことが適しています。各々の経験を持ち寄り、話し合いにより「知的技能」を獲得していくことは、アダルトラーニングとして理にかなっています。
これまでのEラーニングでは、「言語情報」の部分しかカバーできないと思われがちでした。しかし、最近では、そのスコープは広がりつつあります。
ゲーミフィケーションであったり、豊富な事例を扱っていたりするEラーニングであれば、応用の「知的技能」についても、カバーできる場合もあります。また、パイロットのフライトシミュレータや医療用のシミュレータなどのように、職種によっては「運動技能(スキル)」についてもカバーすることができるようになっています。
この話は次回に続きます。