「何に感謝しているのか」を具体的に伝える
続いて、5つのAの③Appreciate 「お客様に感謝を伝える」について解説します。
「感謝する」で思い浮かぶ英語はThank you. 日本人なら誰でもが知っている言葉だけに、軽々しく使ってしまう傾向にあることは否めません。
日本語で「ありがとう」「ありがとうございます」と言うとき、私たちはその謝意の程度の深さ、浅さにかかわらず謝意を述べているという意識はしっかりもっています。しかし、それが英語のThank you. になると、つい「謝意」ということをさほど意識することなく、軽く使ってしまう傾向にあります。
「サンキュー」とカタカナにしたときのような「気軽さ」があるからでしょう。お客様との会話の区切りに、意識せずに口をついて出てしまうことがあることに数多くの接遇研修を行う中で私は気づきました。
たとえばレストランで、テーブルにお客様をご案内し、そのお客様が椅子に座っただけでThank you. と言っている人がいます。またお客様の場を去る時、無言が気まずくてThank you.と言うのも不自然です。
私たちはメール、電話、直接会った場合に「先日はありがとうございました」のようにお礼を言うことがよくあります。ハイコンテクスト・カルチャーを背景にした日本人同士であれば、それが何を意味するのか、特に何も意味していないのか、自然に理解し、受けとめます。
しかし、英語のThank you. はそうはいきません。Thank you. だけだと、声のトーンやイントネーションなどでマニュアル通りのお礼に聞こえてしまう可能性があります。
心の込もらないThank you. あるいはThank you very much.ならば、乱発はぜひ避けたいものです。
あなたの「サンキュー」をワンランク上げるために、何に感謝しているのか、具体的に伝えることが必要になります。それがThank you. + αです。
+ αにすることで、マニュアル的な対応が格段に減り、Thank you. により誠意が出ます。使い古されたThank you. だからこそ、心を込めて丁寧に言いたいもの。抑揚のない、心のないThank you very much. は決して感謝を表した言葉ではありません。
感謝のフレーズを使い分けることで「誠実さ」が増す
以下、実際に使えるフレーズを紹介します。
<Thank you +αで使えるフレーズ>
Thank you + for + 名詞 のパターン
●Thank you for your comment.
「コメントをいただきましてありがとうございます」
●Thank you for your patience.
「お待ちいただきましてありがとうございます」
●Thank you for your cooperation.
「ご協力いただきましてありがとうございます」
●Thank you for your understanding.
「ご理解いただきましてありがとうございます」
Thank you + for + 動詞 + ing のパターン
●Thank you for coming.
「お出でいただきましてありがとうございます」
●Thank you for visiting us.
「私どもを訪ねていただきありがとうございます」
●Thank you for choosing our hotel.
「当ホテルをお選びいただきありがとうございます」
●Thank you for your visiting our website.
「ウェブサイトをご覧いただきましてありがとうございます」
▼Thank you for…以外にも、I appreciate…も覚えておきましょう。
I appreciate…はThank you for…よりも丁寧な響きがあります。
●I appreciate your feedback.
「フィードバックをいただきましてありがとうございます」
●I appreciate your choosing our hotel.
「当ホテルをお選びいただき誠にありがとうございます」
このようにThank you. +αを使うことで、「感謝」に誠実さが増すことになります。