相手にするのは生身の人間・・・臨機応変に対応を
日本の組織は、多くの場面でマニュアルが存在します。場面場面で状況は変わるとはいえ、ある程度のマニュアルで状況をさばけることもまた事実です。お客様に同じクオリティのサービスを提供するという点では、マニュアルの必要性があることも確かです。
でも私たちが対応するのは、生身のお客様です。マニュアルに沿っていればめでたく解決、というわけにはいきません。状況に臨機応変に対応するためにはまずはサービスの原則を知り、その原則を踏まえたうえで、お客様をおもてなししなければなりません。
マニュアル頼みにならない、ハートとビジネスの2つのコミュニケーションがきちんと機能する「接客サービス」こそ、私たちが学ぶべきものなのです。
その場に応じたコミュニケーションが求められる
たとえば、レストランのマニュアルでは、お客様を見かけたら「いらっしゃいませ」と声をかけましょう、とあるでしょう。しかし、目の前に現れたお客様が夏の暑い日、汗びっしょりでご来店されたらあなたはどんな声をかけますか。
おそらく「今日は暑いですね」とか「暑いなかよくお越しくださいました。ありがとうございます」などの言葉が自然に出てくるのではないでしょうか。
海外からのゲストにとって、おもてなしと感じるのはマニュアル通りの言葉よりもその場その場に応じたコミュニケーションなのです。
サービスの原点「5つのA」の中で、「相手を認識する・共感する」Acknowledgeが最重要ポイントであるならば、他の4つのAはどのような働きをしているのでしょうか。
実は、この5つのAはそれぞれが単独に存在するものではなく、Acknowledgeを中心に据えて、脇から後ろからAcknowledgeを支援し、またお互いに補完し合い、サービスを作っていくという役割を担っています。