今回は、決算期になるとやってくる銀行からの「融資協力依頼」を利用する方法を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「今年は、これでお願いします!」

9月末は、各銀行にとっては、上半期決算時期です。
いつものことですが、
この時期になると、融資協力依頼が多くなります。
あちらこちらでお聞きしていると、
9月に入るころから、やってくるようです。

 

いったいどんな言いかたをしてくるのか、
ある経営者にお聞きしました。
“この9月末もまた、いつものご協力の程、
よろしくお願いします!”
という元気な発声が、定番の切り口だそうです。
で、そのあと、
“今年は、これでお願いします!”
と、頭を下げたまま、
指を3本立てたり、2本立てたり、するとか。
単位はご想像におまかせします。

 

その会社では、見返りに、
小売店舗の日々の現金回収を、
無料でしてもらっているのです。
この現金回収サービスも、
今は新規では受け付けてくれません。
過去の経緯から、
そのようなサービスが、実質消えてしまった今も、
継続しているのです。

「1日だけで構いません!」

で、何日くらい借りて協力するのか聞くと、
“9月末の1日だけです。10月1日には返済します。”
“1日だけ!それで銀行はOKなんですか?”
“OKもなにも、銀行から「1日だけで構いません!」て、
言ってくるんですよ。”
その会社の決算月は、9月でも3月でもなく、
それ以外の月なのです。
だから、交換条件次第で、協力しているのです。

 

さらに、その経営者はこう言いました。
“決算期の協力預金はダメだ、って、金融庁の指針にあるでしょ、
と担当者に言っても、「それは重々承知しています!」って、
もう、なりふり構っていられない、っていう感じですよ。”

 

そうです。これは、ある田舎の地方の話しです。
田舎で新規融資を獲得するのは、かなり厳しいです。
銀行マンが、ノルマを達成するには、
既存の企業に頭を下げる以外に方法がない、
ということもあるのでしょう。

 

預金協力依頼があるなら、そんなときこそ、
数々の手数料減額や、その他のサービスなど、
要請するチャンスなのです。
但し、9月末が決算期なら、絶対に協力してはいけません。
あくまでも、自社の決算期じゃない時期に、
交換条件とともに、協力してもよい、ということなのです。

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    本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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