前回は、ハワイ不動産の「売買契約書」を見ながら、注意すべきポイントについて解説しました。今回は、決済・エスクロー等について見ていきます。

「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
>>1月16日(木)開催・WEBセミナー

売主から家具や備品を全て引き継ぐケースも

前回から引き続き、ハワイ不動産の売買契約書を見ていきます。

 

⑥E-3:Inventory List(家具・備品リスト)


単純に不動産のみの売買のケースもありますが、『高級ホテルの一室オーナーになる「ホテルレジデンス」の概要』でご紹介したTrump Tower WaikikiやThe Ritz-Carlton Residences Waikikiのようなホテルレジデンスの場合、不動産売買時に、室内の家具や備品も全てそのまま引渡されることがあります。

 

富裕層だけが知っている資産防衛術のトレンドをお届け!
   >>カメハメハ倶楽部<<

 

その場合には、予め室内にあるそれらの家具や備品をリスト化して、確実に引渡しができるように書面化し、双方のサインを入れます。リストは売主側で作成し、買主側が確認する、という流れですが、リスト提出に関しても期日を指定します。その期日までにリストが上がってこない場合には、買主側は売買契約を解約することも可能です。

 

⑦F-1 / F-2 / F-3:Closing(引渡し)


Closingとはいわゆる「決済」のことです。


F-1の条項で、売主/買主双方が、エスクローより要求される不動産の所有権移転登記に必要な書類の提出を義務付けられ、履行することを合意します。

F-2では不動産の引渡日を指定します。一般的には売買契約成立日を起算日として、そこから40日前後の日数を指定して設定します。

F-3はF-2で設定した日程の変更に関しての条項になります。(a)を選択した場合には、売主/買主どちらか一方が引渡日程の延長を求めた場合、その当事者が他方へ書面による通知を出すことで延長が可能になります。(b)を選択した場合には、売主/買主双方の書面による合意が無い場合には延長不可となり、売買契約を解約できるようになります。

 

⑧F-4:Escrow(エスクロー)


『米国の不動産取引の「透明度」が日本よりも高い理由』でもご紹介した、エスクロー会社を指定する条項になります。まれに、売主側の売却時の条件により、エスクロー会社を指定されるケースもあります。そうでない場合には、買主側が希望するエスクロー会社を記入します。エスクロー会社は不動産売買手続の要ですので、日本人担当者がいるエスクロー会社を指定するなど、しっかりと選定をしましょう。

諸費用の負担割合はあらかじめ記載されている

⑨F-6:Closing Cost(売買時諸費用)


ハワイの不動産取引において、発生する諸費用の負担割合はあらかじめ決まっています。スタンダードな売買契約書上にもこのように記載がされているので、余程のことが無ければ基本的には記載された負担割合で合意することになります。


新築物件の購入時には、Conveyance Taxという、不動産の所有権移転時に発生する譲渡税が買主負担となっていますが、通常のリセールの場合はConveyance Taxは売主が負担します。エスクロー会社への支払いは50:50、Title Insurance という、不動産の所有権に対してかける権原保険は売主60:買主40の負担割合となります。

 

⑩F-8:Assessments(賦課金)


当該物件に関わる税金の未納や、管理組合への支払いが発生した場合の負担の取り決めを行います。一般的には、それまでに発生している賦課金があれば売主側が負担するように記載します。

 

万が一、契約締結日から引渡日までの間に新たに発生した賦課金が出てきた場合には、売主は速やかに買主へ開示し、負担割合を取り決めることになりますが、その負担割合に双方合意できない場合には売買契約を解約することができます。

 

富裕層だけが知っている資産防衛術のトレンドをお届け!
   >>カメハメハ倶楽部<<

 

⑪G-2:Title(不動産の権利調査)


条項G-1にて、エスクロー会社は当該物件の権利関係を調査したPreliminary Title Report(事前権利調査報告書)を提供します。レポートにより、権利関係に不備があった旨が報告された場合、買主は売買契約を解約することが可能です。


買主が解約をしない場合、売主は不備を是正する期間を設けられますが、期間内に是正できなかった場合、買主としてはそのまま購入を進めるか解約するかを再度検討することができます。一般的には、権利関係に不備があるような物件で是正ができないものは解約すべきかと思います。

 

「海外不動産担保ローン」に関するお問い合わせはこちら

 

 

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策

 

【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法

 

【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」

 

【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】

 

 

本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は著者の個人的な見解を示したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録