前回は、ハワイ不動産の「売買契約書」を見ながら、注意すべきポイントについて解説しました。今回は、決済・エスクロー等について見ていきます。

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売主から家具や備品を全て引き継ぐケースも

前回から引き続き、ハワイ不動産の売買契約書を見ていきます。

 

⑥E-3:Inventory List(家具・備品リスト)


単純に不動産のみの売買のケースもありますが、『高級ホテルの一室オーナーになる「ホテルレジデンス」の概要』でご紹介したTrump Tower WaikikiやThe Ritz-Carlton Residences Waikikiのようなホテルレジデンスの場合、不動産売買時に、室内の家具や備品も全てそのまま引渡されることがあります。

 

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その場合には、予め室内にあるそれらの家具や備品をリスト化して、確実に引渡しができるように書面化し、双方のサインを入れます。リストは売主側で作成し、買主側が確認する、という流れですが、リスト提出に関しても期日を指定します。その期日までにリストが上がってこない場合には、買主側は売買契約を解約することも可能です。

 

⑦F-1 / F-2 / F-3:Closing(引渡し)


Closingとはいわゆる「決済」のことです。


F-1の条項で、売主/買主双方が、エスクローより要求される不動産の所有権移転登記に必要な書類の提出を義務付けられ、履行することを合意します。

F-2では不動産の引渡日を指定します。一般的には売買契約成立日を起算日として、そこから40日前後の日数を指定して設定します。

F-3はF-2で設定した日程の変更に関しての条項になります。(a)を選択した場合には、売主/買主どちらか一方が引渡日程の延長を求めた場合、その当事者が他方へ書面による通知を出すことで延長が可能になります。(b)を選択した場合には、売主/買主双方の書面による合意が無い場合には延長不可となり、売買契約を解約できるようになります。

 

⑧F-4:Escrow(エスクロー)


『米国の不動産取引の「透明度」が日本よりも高い理由』でもご紹介した、エスクロー会社を指定する条項になります。まれに、売主側の売却時の条件により、エスクロー会社を指定されるケースもあります。そうでない場合には、買主側が希望するエスクロー会社を記入します。エスクロー会社は不動産売買手続の要ですので、日本人担当者がいるエスクロー会社を指定するなど、しっかりと選定をしましょう。

諸費用の負担割合はあらかじめ記載されている

⑨F-6:Closing Cost(売買時諸費用)


ハワイの不動産取引において、発生する諸費用の負担割合はあらかじめ決まっています。スタンダードな売買契約書上にもこのように記載がされているので、余程のことが無ければ基本的には記載された負担割合で合意することになります。


新築物件の購入時には、Conveyance Taxという、不動産の所有権移転時に発生する譲渡税が買主負担となっていますが、通常のリセールの場合はConveyance Taxは売主が負担します。エスクロー会社への支払いは50:50、Title Insurance という、不動産の所有権に対してかける権原保険は売主60:買主40の負担割合となります。

 

⑩F-8:Assessments(賦課金)


当該物件に関わる税金の未納や、管理組合への支払いが発生した場合の負担の取り決めを行います。一般的には、それまでに発生している賦課金があれば売主側が負担するように記載します。

 

万が一、契約締結日から引渡日までの間に新たに発生した賦課金が出てきた場合には、売主は速やかに買主へ開示し、負担割合を取り決めることになりますが、その負担割合に双方合意できない場合には売買契約を解約することができます。

 

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⑪G-2:Title(不動産の権利調査)


条項G-1にて、エスクロー会社は当該物件の権利関係を調査したPreliminary Title Report(事前権利調査報告書)を提供します。レポートにより、権利関係に不備があった旨が報告された場合、買主は売買契約を解約することが可能です。


買主が解約をしない場合、売主は不備を是正する期間を設けられますが、期間内に是正できなかった場合、買主としてはそのまま購入を進めるか解約するかを再度検討することができます。一般的には、権利関係に不備があるような物件で是正ができないものは解約すべきかと思います。

 

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