米国の不動産取引の「透明度」が日本よりも高い理由

前回は、ハワイに新しく完成したウルトララグジュアリーコンドミニアム「Park Lane Ala Moana」を紹介しました。今回は、米国の不動産取引の「透明度」が日本よりも高い理由について解説します。

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日本の不動産取引の透明度は先進国の中でも低位!?

皆様は「グローバル不動産透明度インデックス」という指標をご存じでしょうか?

 

本連載では、海外不動産、特にハワイ不動産にフォーカスをして様々な角度で情報をお伝えしていきますが、一度基本に立ち返り、視野をもっと広く、世界に向けるとどうなるのかを見てみましょう。

 

「グローバル不動産透明度インデックス」を提供しているのは、「Jones Lang LaSalle(ジョーンズラングラサール)社」(以下 「JLL」)という、全世界80カ国、280拠点超において総合不動産サービスを展開している企業です。1783年にロンドンで創業された歴史ある企業で、フォーチュン500にも選出されています。

 

※JLLが公表している「グローバル不動産透明度インデックス」は、1999年より調査・公開が開始され、現在は2年に一度の公開となり、最新版は「2016年度グローバル不動産透明度インデックス」となります。

 

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皆さんにとっては、日本の不動産取引が最も身近で標準になっているかと思いますが、ご自身の標準である日本の不動産取引というのは、世界的に見るとどの程度の透明度なのでしょうか?

 

[図表]2016年度 グローバル不動産透明度インデックス

 

こちらが2016年度のランキングとなりますが、日本は世界109カ国の中で「第19位」となっています。このランキングを高いと捉えるか低いと捉えるかは個人差があるかと思いますが、一般論としては、いわゆる先進国の中で日本は下位に低迷していると言わざるを得ません。

 

英国・米国・カナダ・オーストラリア等の英語圏諸国が、透明度「高」にランクインしています。なんと、この上位10カ国だけで、世界の商業用不動産に対する直接投資の75%を占めているのです。

米国不動産取引の透明性を高めているエスクローとMLS

米国を例に見ていくと、次の点が高い透明度に大きく寄与していると言えます。

 

①エスクロー制度の確立による取引の安全性の確保


本連載第一回でも触れたエスクロー会社ですが、エスクローとは売主/買主の間に入り、州政府により不動産の証書受託業務に携わることを許された公正中立な民間の第三者機関(会社)です。

 

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日本には無いシステムですが、日本でも「インターネットオークション」で同様のサービスがあります。インターネットオークションの世界では「出品者」と「落札者」というプレイヤーが存在しますが、出品者からすると、落札者に商品を送ったものの入金が確認できない、また、落札者からは落札価格を送金したにも関わらずモノが届かない、といった詐欺紛いの問題も起きる可能性があります。

 

エスクローはその間に立ち、出品者からは商品を、落札者からは入金を受ける第三者として存在し、取引を公正に進めるために存在しています。このエスクローが不動産取引に介在することにより、売主/買主は安心して取引を進めることができ、また、不動産取引時に発生する細かな費用負担計算や税金計算等の業務を代行してくれます。

 

日本においては不動産取引の決済時には、一般的には関係者が一堂に会し、書類の引き渡しや確認業務を行なう必要がありますが、エスクロー会社の存在によりその必要は無くなります。結果として、海外からの遠隔投資が容易になり、海外投資家も安心して取引を進めることができるようになります。

 

②MLS(Multiple Listing Service)による不動産取引情報の一般公開

 

MLSは近年日本でも注目されている「不動産テック(不動産+テクノロジー)」の一種です。米国では、MLSのデータベース上で約99.9%の米国不動産情報がカバーされているといわれており、その中には販売中物件・成約中物件・成約済物件・取引価格履歴・販売開始から成約までの日数・販売期間中の価格改定履歴・ヴァーチャルショーイング機能・仲介業者情報等、不動産取引を行なう上で消費者(投資家)が知りたい情報のほとんどが掲載されています。

 

日本では投資家が物件情報を入手しようとしても、なかなか欲しい情報・判断材料を個人レベルで入手することは極めて困難です。購入対象物件が過去にいくらで取引されたのかを正確に調査することさえ難しく、仲介業者の言葉を鵜呑みにするしかない状況です。現在も課題となっている不動産の「囲い込み」問題も米国ではあり得ない日本特有の課題の一つです。

 

MLSの存在により、米国では投資対象不動産のマーケットバリューが適正か否か、過去の取引履歴から将来のExit時の売却リスクがどの程度かを事前に自己投資判断基準に組み込んだ上で、納得感のある投資を行なうことが可能になります。

 

というように、日本の不動産取引に慣れ親しんでいると、それが当たり前になってしまうのですが、世界の先進国の不動産取引というのは本来もっと透明性が高いものであるべきです。「海外不動産投資は分からないから怖い」という心理は当然かもしれませんが、本当のところは海外不動産投資のほうがリスクを最小化する仕組みが存在しています。

 

米国ではエージェントが調べることができる物件の質・量は、MLSのシステムが存在するため個人差が生じません。繰り返しになりますが、あとは信頼できるエージェントと巡り会えるかどうかが海外不動産投資の成否を分けることになります。ぜひ、そのようなエージェントを見つけてください。

 

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    株式会社Crossover International 代表取締役

    仙台第一高等学校、法政大学経済学部経済学科卒業。宅地建物取引士。
    2002年より某大手ディベロッパーにて一棟物件、区分所有物件の事業用不動産の販売を手掛け、2005年より中古不動産のバリューアップに特化した不動産会社の創業・ブランディング構築に携わる。2008年より株式会社Seven Signatures Internationalにおいて、主に米国ハワイのホテルレジデンス・ラグジュアリーコンドミニアムプロジェクトの日本の超富裕層マーケティングのセールディレクターに就任。2017年に株式会社Crossover Internationalを設立。

    WEBサイト http://www.crossover-international.com/

    著者紹介

    連載田村仁のホノルル不動産通信

    本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は著者の個人的な見解を示したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

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