誤操作など、インターネット取引特有のトラブルが増加
当社は、設立間もないベンチャー企業で、インターネットを利用して、アイデア商品を販売しています。販売にあたっては、利用者の方に、サイト上で利用者登録をしてもらっています。インターネットでの販売を始めるにあたり、とりあえず、他社のサイトにある利用規約を流用してしまったのですが、販売数量や利用者も増えてきたため、このままでいいのか不安です。利用規約のほか、インターネット販売で注意すべき点は何でしょうか?
現在は、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットからでもインターネットで商品やサービスも購入でき、インターネット取引は日常的なものになっています。
インターネット取引は、便利で簡単に取引ができるわけですが、その一方、対面取引では起こりえない、誤操作による注文等、インターネット取引特有の問題が発生しています。また、ワンクリック詐欺といったインターネット取引の特性を悪用した犯罪も発生しています。
そのため、インターネット取引に関する法も整備されてきました。今回は、自社でインターネット取引をする際の留意点を確認することにします。
電子契約法は事業者が「個人」と契約する場合に適用
では、「電子契約とは」というところから見ていきましょう。
「パソコン等でインターネットを使って行う契約のことが電子契約では?」と思われた方がいるかもしれません。日常的に使う言葉としてはそのとおりですし、概ね合っているのですが、電子契約法で定められている電子契約(正確には電子消費者契約)とは少し違います。
「パソコン(スマートフォンやタブレット等の電子機器を含みます)を使ってインターネット経由で契約を締結すること」「当事者が直接会って契約書を取り交わすのではない」というのは、このイメージでOKです。しかし、これから説明する内容は、皆さんがもたれている電子契約に対するイメージとは違うのではないでしょうか。
<個人が事業者と契約する場合に適用>
まず、電子契約法が適用されるのは、事業者が個人と契約する場合だということです。つまり、インターネットで事業者だけを相手にしているということであれば、電子契約法は気にする必要がありません。個人であっても自営業者が事業のために事業者とインターネットで取引をするのであれば、電子契約法は適用されません。
<電子契約法が適用される場合の申込みまでの手続の流れ>
同じインターネット取引であっても、利用者が契約を申し込むまでにどのようなプロセスを経るかによって、電子契約法の適用の有無が変わります。
ショッピングサイトをイメージしてください。まず、商品を選びます。そうするとカートにその商品が入り、個数を選択し・・・とページが移動していきます。
送り先を入力し、さらにページが移動し、支払方法を選択して、ページが移動し、注文内容の確認画面が出て、「注文」ボタンをクリックします。このように、サイトの表示に従って手続をして申し込むような取引が、電子契約法の対象となります。
インターネット取引でも、インターネット上で商品を見て、個人が、商品名や個数、送り先住所等の注文内容をメールに記載して注文するような場合には、電子契約法の対象にはなりません。
このように、電子契約といっても電子契約法が適用される内容は、一般的なイメージと異なります。自社で行っている、または行おうとしているインターネット取引が電子契約法の対象となるのか、確認する必要があります。