今回は、契約書の内容を実現するための「公正証書」の使い方を見ていきます。※本連載は、新日本パートナーズ法律事務所の代表弁護士・初澤寛成氏と、TH総合法律事務所の弁護士・大久保映貴氏による共著、『会社を守る!社長だったら知っておくべきビジネス法務』(翔泳社)の中から一部を抜粋し、経営陣が知っておくべきビジネス関連の法律知識の基本と、会社を取り巻くトラブルへの対応策、および予防法務について説明します。

契約書の内容を実現するためには、裁判が必要!?

<事例>
プライベートでも仲のよいA社のB社長は、敏腕な経営者です。しかし、最近A社では売上が落ちてきてしまっているようで、B社長からA社に出資をするか、貸付けをしてくれないとお願いされました。B社長たってのお願いということもあり、当社からA社へ少しの金額ですが貸付けることとしました。ただ、私も当社の社長として、貸付金を回収できないというような事態は避けなければなりません。
A社には担保となるようなものはないようなのですが、いざというときのために、何か手を打っておくことはできないのでしょうか?

 

 

契約書には、一方当事者が他方当事者に対して何をしなければならないのか、何を請求することができるのか等が書かれています(連載第1回を参照)。

 

多くの契約では、口約束であろうが契約書を締結していようが、約束したことに従って自分がしなければならないことをし、相手もしなければならないことをします。多くの場合、皆が約束に従って、きちんとするべきことをします。

 

しかし、契約した相手がするべきことをしない場合にはどうすればよいでしょうか? 契約した相手も、ただ単に代金を支払うのを忘れていたり、商品の発送が遅れてしまっているだけなのかもしれません。

 

そこで、まずは電話等で状況を確認することになるでしょう。これだけでも、きちんと対応してくれるところが多いと思います。それでも支払ってくれないような場合には、催告書等を内容証明で送付します。

 

それでもダメな場合は、訴訟を提起する等法的な手続に従い、自分が有する権利を実現しなければなりません。たとえば、「お金を支払え」という裁判をしなければならないのです。

 

最近では、裁判に要する期間は短くなっていますが、それでも6か月から1年を超えることも多いものです。裁判をするとなると、時間だけでなく手間や費用等のコストがかかり、また、裁判をしたからといって必ず解決するとは限りません。

 

勝訴判決どおりの内容を相手が実行しなければ、さらなる強制執行をしなければならず、時間・手間・費用がその分かかってしまいます。

公正証書を活用すれば、裁判をせずに強制執行できる

そこで、公正証書(執行証書)という、裁判をしなくても強制執行することができる制度が用意されています。冒頭の事例で見ると、お金を貸す契約である金銭消費貸借契約は、公正証書で作成されることがあります。

 

公正証書とは、法律の専門家である公証人が法律に従って作成する文書のことをいいます。この公正証書のうち一定の要件を満たすものがいわゆる「債務名義」(簡単にいうと、強制執行に必要な書面)となり、裁判手続をせずに、いきなり強制執行することができるとされています。

 

お金を貸すとき等は、担保や連帯保証人をつけてもらうだけでなく、公正証書で金銭消費貸借契約書を作成することをお薦めします。

 

この話は次回に続きます。

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