銀行から「依頼してくる」形に持っていく
前回の続きです。
企業が飛び込みで新規の銀行で融資を申し込むのは、企業側から銀行へ融資を依頼したということです。
それに対し、預金口座開設で銀行員が企業に訪問し銀行員が融資の話をしてくるのは、銀行が企業に対し融資の提案を行おうとした、ということです。
●企業から融資の提案をされるのか
●銀行が企業に融資の提案をしてくるのか
融資申込みにおけるこの入口の違いは、とても大きいです。企業が銀行に融資の依頼をするのは、その企業は資金繰りに困っているのかと銀行は身構えてしまいがちです。一方で銀行のほうから融資の提案をしたということは、銀行からの営業の行為ですので銀行としては融資を受けてほしい、ということになります。
その後の融資審査にあたって、銀行からの提案の上、融資の申込みが行われた、ということは、銀行としてはそのぶん、安心して融資を行いやすいものです。
この方法の他、新規の銀行と接触するきっかけとしてとれる方法は、自分の会社に新規の銀行が営業に訪問してくるようきっかけを作る、人に紹介してもらう、という方法があります。
銀行員は自分の支店のテリトリー外に行こうとしない!?
●自分の会社に銀行員の新規営業を誘導する
銀行員は、帝国データバンクなどの興信所会社で支店の近くの会社の情報を調べ、新規融資先開拓の営業を行っています。そのため、興信所会社の情報に自分の会社の情報が掲載され、かつ興信所会社からつけられている自分の会社の点数が高くなると、銀行員は自分の会社へ営業に訪問してくることが多くなります。
興信所会社に自分の会社の情報が載っていなかったら、その興信所会社と付き合いのある知人の会社などに自分の会社を調べてもらうようにし、載るようにしてください。また興信所会社から自分の会社に調査が入ったら決算書を開示し自社の情報を丁寧に説明する、経営者が興信所会社の調査員に聞かれたことをしっかりと答える、これを心がけると点数が高くなりやすいです。
●人に紹介してもらう
新規に融資を受けたい銀行とすでに取引している知り合いの経営者や、その銀行を知っている顧問の税理士などに、紹介してもらいます。銀行としては、知っている人からの紹介であれば安心できます。
ただ、銀行の支店網は細かく張り巡らされており、紹介を受けた銀行の支店が、自分の会社と離れた場所にあれば、その紹介の後、テリトリーが違うということで具体的な話になりにくいこともあります。
例えば、あなたの会社が東京の銀座に本社があるとします。東京に本拠のあるA信用金庫を、あなたの知人で、新宿に本社のある会社の経営者に紹介してもらおうと依頼したとします。その知人が付き合っているA信用金庫新宿支店を紹介してくれたとしましょう。
この場合、紹介を受けたA信用金庫新宿支店の職員は、銀座まで遠方であるとして、なかなか来てくれないことがあります。なおA信用金庫が銀座にも支店があったとしても、その新宿支店の職員は、銀座支店の職員に声をかけてくれることもあれば、声をかけてくれないこともあります。その職員が臨機応変に動いてくれるかどうかによります。
なお、一般企業の感覚としては新宿と銀座の間の移動距離はそんなに遠くなくても、銀行の感覚だったら遠いと感じます。
銀行は支店網が細かく張り巡らされていて、自分の支店のテリトリー外には基本的に行こうとしない感覚があります。
テリトリーの問題が、紹介という方法の弱点です。このようなこともありうると考えながら、新規の銀行を人に紹介してもらうようにします。