銀行は一見客を相手にしないのが普通
メインバンクを作るにしても、複数の銀行から融資を受けるにしても、新しい銀行と関係を持つことができなければなりません。では、銀行とはどのように接触すればよいのでしょうか。
この場合、やってはいけないことは、預金取引さえもない銀行にいきなり飛び込んで、融資を申し込むことです。
次の事例は、ある企業が近隣の銀行に手当たりしだいに飛び込み、融資を申し込んだ際の銀行員の反応です。
●A銀行…「決算書の内容しだいでは、お付き合いさせていただきたいが、時期尚早のため、まずは日本政策金融公庫に話をしてみてはどうか」
●B信用金庫…決算書を提出したが、返事なし
●C信用金庫…「現段階では、難しい」
このように、相手にされないのが普通です。
なぜなら、銀行としてはこのような一見客は、
「今までにいくつもの銀行に融資を申込みをして断られてきた」「他の銀行に断られたから自分の銀行に飛び込んできた」
というように見えてしまうからです。
新しい銀行と接触するにはいくつかの方法がありますが、近所の支店で預金口座を開設するのが手っ取り早いです。
そもそも飛び込みでの口座開設は難しい
近隣の銀行で預金口座を開設する
まずは、自分の会社のまわりに支店がある銀行を把握します。
その支店に訪問し、法人や個人事業主としての預金口座の開設を依頼します。
ただ、その場で口座は作らせてもらえないのが普通です。口座開設前に銀行は一度、その会社の事務所を訪問します。
なぜなら、その会社はペーパーカンパニーではなく実態がある会社なのかどうかを見たいからです。実態のない会社の預金口座が開設されてしまうと、その口座は、後に詐欺などの犯罪や、反社会的勢力の口座として使われたりするなど、後々、面倒なことになってしまうからです。
そして訪問したら、銀行は経営者からヒアリングを行います。事業の内容など、簡単なヒアリングです。
特に大事な質問は「なぜうちの銀行で預金口座を開設しようと思ったのですか?」です。
その理由をあらかじめ経営者は考えておきます。「近所だから」は、銀行として最も納得のいく理由です。このようなヒアリングの上、問題なければ預金口座作成の手続きに入ります。
一方で訪問してくる銀行員は、融資量の増加や、新規融資先開拓などの目標が本部から設定されているものです。新しい会社の預金口座開設の機会は、その銀行員にとっても、営業のチャンスであるのです。その銀行員が融資の話をし出したら、企業としてもその銀行で新たな融資を考えてもらうチャンスになります。
新規の銀行と接触する方法として、企業が飛び込みで新規の銀行に融資を申し込むのはよくない方法で、企業が支店で預金口座開設を行い銀行員に訪問してもらうのはよい方法ということがわかりました。
しかし、この2つの方法の違いはどこにあるのでしょうか。
(続)