手元の現金は月商の最低1ヵ月分、理想は3ヵ月分
あなたの会社が、銀行から見たら融資を積極的に受けてほしいと思われる会社の場合はどうでしょうか。
銀行は、信用金庫や信用組合も含めて全国で500以上あり、それぞれの銀行が、生き残りのためにしのぎを削っています。銀行の第一の収益源は融資による利息収入であるため、融資の残高をいかに増やしていくか、銀行間で競争が起きています。
企業が安定した経営を行うためには第一に資金繰りが大事で、現金は多く保有すればするほど、安定した経営ができます。上場企業が現金を多く保有していればその株主から、現金を有効活用するように言われやすいですが、上場企業ではない中小企業では、経営者がそのまま大株主であることが多く、株主からのプレッシャーもありません。
現金を、月商の最低1ヵ月分、理想は3ヵ月分、常にある状態にしたいものです。
ある運輸業の会社は年商12億円ですが、借入金は7億円、一方で現金を5億円保有しています。この会社は月商の7ヵ月分もの借入金がありますが、借入金から現金を引いた実質借入金は[7億円-5億円=2億円]と、月商の2ヵ月分程度です。
銀行は「借りてくれ」と言ってきます。銀行は、「この会社は現金を豊富に保有することを目的として借入れを行っていて、現金がこれだけあるから安心」と考えているのでしょう。
しかし、実際にはこれだけ多くの借入金があると、支払利息の負担が気になるものですが、多くの銀行から融資を受けられる会社では金利競争が銀行間で発生します。
「借入金」が多くなるだけでは会社は倒産しない
今は年利1%を切る金利で融資を受けている中小企業も増えてきていますが、低い金利で融資が受けられるようになれば、支払利息の増加を抑えることができます。
経営者の中には、借入金を多くするのが不安だからと、借入金を増やそうとせず、ギリギリの資金繰りを行っている会社があります。
しかし、それで会社の経営が不安定になれば本末転倒です。
借入金が1,000万円あろうと、1億円あろうと、10億円あろうと、会社が倒産し融資の返済ができなくなってしまえば、同じです。
借入金が多くなっても会社は倒産しませんが、現金がなくなれば会社は倒産します。借入金を多くすることを怖がるよりも、現金が少なくなることを怖がる経営を行いたいものです。