「まとめることによって毎月の返済額は減りますよ」
銀行が、ある企業に対し融資を売り込もうとする場合を考えてみましょう。
その会社で、売上が増加するに伴い運転資金が必要になったり、新たな設備投資を行うための設備資金の需要があればよいのですが、そのような資金需要もない場合、銀行はどう融資を売り込んでくるのでしょうか。そこで考えられるのが、他の銀行の融資の借換えです。
「他の銀行の融資を、うちの銀行でまとめましょう。金利も、既存の融資より少し下げますし、まとめることによって毎月の返済額は減りますよ」
というように、銀行は勧誘してきます。では、企業側には、借換えを行うことにより、どのようなメリット・デメリットがあるのか、見ていきましょう。
(1)他の銀行の融資を借り換えるメリット
他の銀行の融資を借り換えるメリットは次のようなものがあります。
●金利を下げる・・・
借換えの提案で銀行が企業に最もアピールできることは低い金利で借換えできること。金利を下げることができる
●事務効率と資金効率が上がる・・・
借換えすることによって借り換えされるほうの銀行との取引をやめる場合、取引銀行の集約を図ることができる。その結果、企業の事務効率と資金効率が上がる。ここで言う「資金効率」とは、預金を多くの銀行に分散させないことにより、資金を有効活用しやすくなること
●受取手形を手もとに置いておける・・・
ある銀行で手形割引を行っているぶんを別の銀行で長期融資に切り替えてもらえば、受取手形は手形割引で現金化することなく手もとに置いておくことができ、資金繰りにゆとりを持つことができる
●月々の返済負担が軽くなる・・・
借換えにより融資を一本化することによって、融資の本数を少なくすることができ、また月々の返済負担を軽くすることができる
●担保の有効活用・・・
多くの銀行が不動産に担保設定しており、それに見合った融資がされていない場合、借換えにより担保の有効活用を図ることができる
●銀行への不満解消・・・
借り換えされるほうの銀行に対し企業側が不満を持っているのであれば、その不満が解消される
●保証人にならなくてよい融資の提案が受けられる・・・
銀行が融資を売り込むために、経営者が保証人とならなくてよい融資を提案してくれることもある
融資を受ける銀行の選択肢が少なくなる
(2)他の銀行の融資を借り換えるデメリット
デメリットは次のようなものがあげられます。
●借り換えされるほうの銀行との関係が悪化する
●選択肢が少なくなる・・・
借り換えされる銀行との取引をやめてしまえば、取引銀行の数は少なくなり、融資を受ける銀行の選択肢は少なくなってしまう
●未知数である・・・
借り換えされる銀行がメインバンクであれば、借換えをするほうの銀行が今後、メインバンクとして自社に対して融資を積極的に行ってくれるかどうか、未知数である