今回は、確定拠出年金を活用する際に、住宅ローン控除があるとどのようなメリットがあるのかを見ていきます。※本連載は、株式会社アセット・アドバンテージの代表取締役で、ファイナンシャルプランナーとしても活躍する山中伸枝氏による著書、『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)より一部を抜粋し、自営業、公務員、会社員などの職業や、年代によって最適な「確定拠出年金の活用方法」をご紹介します。

控除を受けていると、住民税の節税につながる

<ケース2> 30代会社員

 

住宅ローン控除を受けている場合、確かに掛金に対する所得控除のメリットはありません。しかし住民税はいかがですか? 納税している金額があるのであれば、住民税の節税効果にはつながるかと思います。

 

住宅ローン控除を受けている場合、所得税の節税メリットはない人が多いでしょうから、「退職所得控除での非課税の枠作り」をメインと考えるのも良いでしょう。

 

●住宅ローン控除・・・住宅ローンの残高に対して一定の率が税額控除できる仕組みです。住宅購入時の税制により控除の率などが変わりますが、平成28年現在は、住宅ローン残高最高4000万円までに対して、1%にあたる金額がその年納税すべき所得税より差し引かれます。

非課税枠を活用し、将来の資金受け取りを有利に

例えば掛金が毎月5000円であったとしても、将来資金を受け取る際の退職所得控除は加入1年あたり40万円です。加入期間が20年を超えると1年あたり70万円の「非課税枠」を作ることができます。そのため住宅ローン控除が使える場合であっても、将来の受け取り時により有利になるように非課税枠を作るという作戦です。

 

住宅ローン控除は10年で終わりますから、終了後は少し老後の資産形成に回すお金を増やして所得控除を受けるようにします。

 

もちろん住宅ローン控除を受けながらも、老後の資産作りをするという明確な目的があれば、掛金を少な目に抑える必要はありませんが、掛金も少し調整したいという希望があれば「退職所得控除」に重きをおいた活用法もありかと思います。

本書に記載されている情報は、2016年10月執筆時点のものです。本書に記載された商品やサービスの内容や価格、URL等は変更される場合があります。本書の出版にあたっては正確な記述につとめましたが、著者や出版社などのいずれも、本書の内容に対してなんらかの保証をするものではなく、内容やサンプルに基づくいかなる運用結果に関してもいっさいの責任を負いません。

ど素人が始めるiDeCo  (個人型確定拠出年金)の本

ど素人が始めるiDeCo (個人型確定拠出年金)の本

山中 伸枝

翔泳社

確定拠出年金(iDeCo)は、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を補うものです。基本的に毎月掛け金を積み立て、それを貯金や投資商品に回します。 本書は、節税と資産形成に非常に有利なこの制度の仕組みをやさしく解説し…

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