今回は、厚生年金基金加入者は、「確定拠出年金」を併用できるかを見ていきます。※本連載は、株式会社アセット・アドバンテージの代表取締役で、ファイナンシャルプランナーとしても活躍する山中伸枝氏による著書、『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)より一部を抜粋し、自営業、公務員、会社員などの職業や、年代によって最適な「確定拠出年金の活用方法」をご紹介します。
法改正により2017年から「併用可能」に!
<ケース13> 会社員
これまで転職した会社に確定拠出年金以外の企業年金(厚生年金基金または確定給付年金)があると、個人型に資産移換ができても追加資金を拠出することができず、運用のみを行う運用指図者としかなれませんでした。運用指図者だと、掛金の所得控除も受けられませんし、60歳以降に受け取る際の退職所得控除についても、運用指図者の期間は控除の対象期間となりませんでした。
これが法改正により2017年以降、企業年金がある会社に勤務する人であっても、個人型の「加入者」となることができるようになったのは大きな前進です。掛金の上限は1万2000円と少な目ですが、やはりメリットは大きいのでぜひ継続して掛金を拠出できるようにしましょう。
すでに個人型に資産移換をして運用指図者になっている人は、登録している運営管理機関に手続きについて問い合わせをしましょう。運用指図者から加入者への切り替えをしてもらいます。
前職を辞めてから何の手続きもせず国民年金基金連合会に自動移換になっていた人も、この機会に個人型に加入しましょう。運営管理機関に加入の申し込みをする際に、移換すべき残高が国民年金基金連合会にある旨を伝えると、必要な手続きを知らせてくれます。自動移換は手数料だけが差し引かれ続けるとても残念な状態ですから、早々に個人型に変えることをおススメします。
自動移換をする際「管理手数料」がかかる点に注意
ちなみに自動移換をする際に、4269円または月々51円の管理手数料がかかります。資産は運用されることなく、ただただ手数料が差し引かれるのみとなります。
また自動移換の期間は加入期間ではありませんので、60歳までの期間が10年に満たないと、最長65歳まで受け取りが延長されることも理解してください。
株式会社アセット・アドバンテージ
代表取締役
1993年、米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後、メーカーに勤務し、人事、経理、海外業務を担当。留学経験や海外業務・人事業務などを通じ、これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーを目指す。
2002年にファイナンシャルプランナーの初級資格AFPを、2004年に同国際資格であるCFP資格を取得した後、どこの金融機関にも属さない、中立公正な独立系FPとしての活動を開始。金融機関や企業からの講演依頼の他、マネーコラムの執筆や書籍の執筆も多数。
個人相談も多く手がけ、年金、ライフプラン、資産運用を特に強みとしており、具体的なソリューション提供をモットーとする。
著書に、『「なんとかなる」ではどうにもならない定年後のお金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)、『ど素人が始めるiDeCoの本』(翔泳社)、『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東京経済新報社)、『会社も従業員もトクをする! 中小企業のための「企業型DC・iDeCo+」のはじめ方』(同文舘出版)などがある。
●確定拠出年金の相談ができる全国のFPネットワーク
「FP相談ねっと」代表
https://fpsdn.net/
●公的保険のプロアドバイザーを育成する
「一般社団法人 公的保険アドバイザー協会」理事
https://siaa.or.jp/
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