今回は、「マッチング拠出制度」の概要を説明します。※本連載は、株式会社アセット・アドバンテージの代表取締役で、ファイナンシャルプランナーとしても活躍する山中伸枝氏による著書、『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)より一部を抜粋し、自営業、公務員、会社員などの職業や、年代によって最適な「確定拠出年金の活用方法」をご紹介します。
ぜひやるべきだが、留意点も
<ケース14> 会社員
マッチング拠出とは、企業型確定拠出年金を導入している会社のプラスアルファの制度なので、可能な限り拠出した方が良いです。
マッチング拠出は会社の制度の中で行う個人型確定拠出年金です。個人型では自分で口座管理手数料など毎月500円程度の手数料を払わなければなりませんが、マッチングであれば手数料を会社でもってくれるのでお得です。もちろん掛金に対しては所得税、住民税がかかりません。
個人型と異なる点は、掛金を決めるときに会社からの掛金(企業拠出掛金)との調整があることです。このルールは2段構えになっています。
まず企業拠出の掛金と個人の拠出掛金の合計額は5万5000円を超えないこと(確定拠出年金以外の企業年金がある場合は合計2万7500円です)。
それに加え、個人拠出掛金が企業拠出掛金を上回らないことです。例えば会社から出してもらっている掛金が2万円であれば、個人として上乗せで出せる掛金は2万円までということです。
詳しくは会社で確認してもらえればと思いますが、とにかく会社でマッチングができる場合は積極的に活用すると良いです。
会社の制度変更には注意を払っておく
もし企業型確定拠出年金が導入されている会社で、まだマッチングはないというところも、今後マッチングが導入されるかもしれませんので、会社からのお知らせには注意を払っておきましょう。
マッチングを導入しないところは、別途個人型に加入をしても良いというルールとする会社も今後出てきそうです。その場合、マッチングのように手数料を会社でもってくれるわけではないのですが、掛金額についてはマッチングより自由度が高い可能性もあります。
企業型確定拠出年金を導入している会社では、「マッチング」または「個人型確定拠出年金の併用を認める」のどちらかの選択をするようになる流れではあります。できるようになったら、積極的に活用しましょう。
株式会社アセット・アドバンテージ
代表取締役
1993年、米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後、メーカーに勤務し、人事、経理、海外業務を担当。留学経験や海外業務・人事業務などを通じ、これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーを目指す。
2002年にファイナンシャルプランナーの初級資格AFPを、2004年に同国際資格であるCFP資格を取得した後、どこの金融機関にも属さない、中立公正な独立系FPとしての活動を開始。金融機関や企業からの講演依頼の他、マネーコラムの執筆や書籍の執筆も多数。
個人相談も多く手がけ、年金、ライフプラン、資産運用を特に強みとしており、具体的なソリューション提供をモットーとする。
著書に、『「なんとかなる」ではどうにもならない定年後のお金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)、『ど素人が始めるiDeCoの本』(翔泳社)、『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東京経済新報社)、『会社も従業員もトクをする! 中小企業のための「企業型DC・iDeCo+」のはじめ方』(同文舘出版)などがある。
●確定拠出年金の相談ができる全国のFPネットワーク
「FP相談ねっと」代表
https://fpsdn.net/
●公的保険のプロアドバイザーを育成する
「一般社団法人 公的保険アドバイザー協会」理事
https://siaa.or.jp/
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