国民年金基金と確定拠出年金・・・どちらに加入するか?
<ケース3> 40代自営業
第1号被保険者の場合、自分年金の選択肢は3つあります。
まず国民年金基金です。掛金全額控除で65歳からの受取額が予め確定しています。国民年金基金連合会のホームページ上でシミュレーションができるので、一度チェックしても良いかと思いますが、加入した時点での固定金利なので、現状はあまり良い条件とはいえません。
●国民年金基金・・・国民年金基金とは、第1号被保険者のための上乗せ年金制度です。各都道府県に1つずつ設立された地域型国民年金基金と、25の職種ごとに全国に1つずつ設立されている職能型国民年金基金があります。掛金は月6万8000円が上限で、全額所得となります。
●国民年金基金連合会ホームページ・・・http://www.npfa.or.jp/
例えば30歳男性が15年保証の終身年金を希望する場合、月1万170円の掛金で65歳から年間24万円を受け取ることができるとなっています。60歳までの払い込み金額の合計は366万1200円なので、保証期間内に亡くなった場合、受け取り金額が360万円となり、払い込んだ金額を割ってしまうのです。
国民年金基金と確定拠出年金の掛金上限額は合計で6万8000円ですから、どちらか一方をということであれば、確定拠出年金の方が分が良いのではないかと考えます。
確定拠出年金であれば、運用次第で資産も増えますから、今後のインフレの可能性などを考えると国民年金基金よりも期待できます。また将来事業を大きくして法人化した場合など、企業型に移換することもできます。
※国民年金基金の終身年金には保証期間のあるものとないものがあります。保証期間のあるものは受給者が死亡した際に、保証期間からすでに受給した期間を引いた分の額が一時金として遺族に支給されますが、保証期間のないものは支給がありません。保証期間については受給者が途中で死亡してもその期間内の年金額は保証され、遺族が受け取ります。保証期間より長生きした場合は終身で年金が受け取れます。
確定拠出年金と併用して「付加年金」に加入する手も
オプションとして確定拠出年金と併用して付加年金に加入することもできます。毎月400円の掛金で65歳からプラスアルファの年金が受け取れます。この受け取り額の計算式は200円×加入月数ですから、単純にいえば支払った保険料が2年で元がとれる年金です。金額はわずかですが、やってみる価値はあります。
ただし、個人型確定拠出年金の掛金は5000円以上1000円単位で決めなければいけないので、付加年金をすると確定拠出年金の掛金は6万7000円が上限となってしまいます。付加年金の保険料も所得控除ではありますが、差額が生じることで節税メリットが薄れると思う人はあえてしなくても良いかと思います。
iDeCoと小規模企業共済の組み合わせ――節税効果は大
確定拠出年金が併用できる自営業者の自分年金は、小規模企業共済です。商工会議所や銀行でも加入の申し込みが可能です。月の掛金は1000円以上500円刻みで、7万円が上限です。全額所得控除となりますので、確定拠出年金と合わせると節税効果はとても大きくなります。
受取の金額は理由によって異なります。最も支払い額に対して受取額が大きくなるのが廃業時です。そのため60歳で確定拠出年金の資金を取り崩し、廃業時には小規模企業共済を受け取るなど、明確な用途の使い分けができる人は特に併用のメリットがあります。
ただし起業したばかりで売上が安定していないという場合、優先すべきは確定拠出年金でしょう。掛金の見直しも1年に1回可能ですし、事情によっては運用指図者として掛金の積立を休むことができます。確定拠出年金も小規模企業共済も途中引き出しができません。
起業したばかりだと、仕事への投資も必要でしょう。まずは無理せず始め、しっかり売上を伸ばしてから掛金を増やしていくと良いでしょう。