本連載は、株式会社アセット・アドバンテージの代表取締役で、ファイナンシャルプランナーとしても活躍する山中伸枝氏による著書、『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)より一部を抜粋し、自営業、公務員、会社員などの職業や、年代によって最適な「確定拠出年金の活用方法」をご紹介します。

資産形成を学ぶ機会だと考える

<ケース1> 20代会社員

 

20代の人であれば、40年後、50年後の自分の姿を想像し、「生活苦におちいらないよう今から備えましょう」といったところで何となく現実味がなく積極的な気持ちになれないかもしれません。

 

若い頃はとりあえず「稼ぐ力」を養うことが最も重要なことだと筆者も個人的には思います。稼ぐことが出来なければ、資産形成もできませんし、入ってくるお金があってこそ人は将来設計に前向きになれるというのは紛れもない事実だからです。

 

そんな若い人が確定拠出年金を活用するメリットがあるのでしょうか?

 

もちろんメリットはあります。ただし「節税」目的など目先のことにとらわれる必要はありません。資産形成の「学びの場」としての活用です。

 

若い人で、そもそも税金の負担がそれほど多くないのであれば、確定拠出年金で掛金を拠出したところで大した節税にもならないでしょう。ましてや掛金額が5000円程度であれば、運営管理機関を間違ってしまうと、節税メリットより口座管理にかかる手数料の方が多いかもしれないという笑えない状況になってしまいます。

 

会社が確定拠出年金を導入している場合は、会社がお金を払ってくれるのですから、「学びの場」としてまずは投資力を養うために活用しましょう。これからの時代、資産運用のスキルはとても大事です。自分自身の稼ぐ力を養うためにも経済を学ぶことは非常に優先順位の高いことです。

 

マッチング拠出が可能であれば、これもやってみましょう。何しろ「身銭」を切らないことには人間なかなか真剣になれません。少額であってもマッチング拠出しながら運用をするべきです。

 

個人型であれば、できれば掛金は1万円以上が望ましいです。もちろん短期で必要となる目的の貯蓄として確定拠出年金はふさわしくありませんが、月1万円の勉強代と思えばなんとかなる人も多いでしょう。

「市場の変動」に一喜一憂しないことが重要

もちろん掛金を拠出するだけではなく、インターネットで資産運用について学んだりセミナーに参加してみたりすることもおススメです。無料あるいはとても安い費用で学べるチャンスはたくさんあります。

 

学ぶ際の重要なポイントは、市場の変動に一喜一憂しないこと。何しろ今は「学び」のときなのですから、けがをしながら経済を乗りこなせるようになること! これが第一の目標です。仮に1万円の掛金が50%下落して5000円になったところで人生の終わりにはなりません。

 

仮に20歳から確定拠出年金を始めると、60歳までに「退職所得控除」の枠が2200万円できます。退職所得控除の枠を超える位の資産形成を目標としてみるのも良いのではないでしょうか?

 

月々1万円の積立であれば、複利で7.2%の運用を40年続ければ2200万円くらいにはなりますね。先進国株の過去20年間の平均リターンが約7%ですから、チャレンジする目標としては悪くないかもしれません。

本書に記載されている情報は、2016年10月執筆時点のものです。本書に記載された商品やサービスの内容や価格、URL等は変更される場合があります。本書の出版にあたっては正確な記述につとめましたが、著者や出版社などのいずれも、本書の内容に対してなんらかの保証をするものではなく、内容やサンプルに基づくいかなる運用結果に関してもいっさいの責任を負いません。

ど素人が始めるiDeCo  (個人型確定拠出年金)の本

ど素人が始めるiDeCo (個人型確定拠出年金)の本

山中 伸枝

翔泳社

確定拠出年金(iDeCo)は、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を補うものです。基本的に毎月掛け金を積み立て、それを貯金や投資商品に回します。 本書は、節税と資産形成に非常に有利なこの制度の仕組みをやさしく解説し…

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