年度末の3月を決算月に設定する会社が多いが・・・
毎年、6月になると、上場企業の決算や株主総会の話題が世間をにぎわします。
個人事業主の場合、事業年度は1~12月となり、毎年申告、納付期限が決まっていますが、会社の場合、一事業年度を何月から何月にするのかを自由に決められます。
一般的に、日本の会社は年度末の3月を決算月に設定することが多く、その場合、「4月1日から翌年3月31日まで」が一事業年度となります。
法人税や消費税の申告、納付期限は決算から2カ月以内となっており、上場企業を始め、監査が必要な会社では、申請をして認められれば3カ月以内となります。つまり、3月が決算月とすると、5月末日あるいは6月末日が決算申告の期限日となるため、6~7月に決算の発表、株主総会が集中するというわけです。
決算月は「仕事がヒマ」な月に設定するのが正解
では、中小企業も多くの上場企業に合わせて、決算月を3月に設定するべきなのかというと、そんなことはありません。あえて言うならば、
「業務がヒマな時にするのがいいのでは?」というのが、私の助言です。
いわゆる繁忙期は、1年のなかでも会社の売上が高く推移する時期となり、とくに中小企業の場合、一つの売上次第で、利益が大きく変動しやすい傾向があります。
つまり、その月が終了するまで、利益がいくらになるのかの予測がしにくいため、繁忙期に決算月を設定すると、「予想よりも売上、利益があって、納税額が増えてしまった」ということもあれば、その逆も起こりえます。
また、繁忙期に決算が重なると、本業で手一杯な上に、書類の整理や棚卸などの決算業務で、てんやわんやとなりがちです。とくに人手が乏しいスモールビジネスの場合、本業での成果を上げるためにも、決算は業務が集中しない月に設定するのが正解なのです。
ただし、年度で動く官公庁や、3月決算の大企業との取引が多いなら、3月に決算月を設定するのが妥当という判断もできます。また、決算月、事業年度は、設立時に決める必要がありますが、後で変更することも可能です。
一度決めた決算月だと、どうも不都合が生じるということであれば、改めて1年間の業務フローや売上の推移を吟味した上で、事業年度を見直すのもいいでしょう。