前回は、個人事業主が把握しておくべき「社会保険料・国民年金」の負担について説明しました。今回は、「所得税」の基礎知識について見ていきます。

自分で稼ぎを申告し、納税しなければならない

新しい年を迎え、お正月気分が落ち着いたころになると、「そろそろ、またあの季節か~」と、ブルーな気持ちになる個人事業主の方は多いかもしれません。

 

そう、確定申告の季節到来です。毎年、早め早めに着手しようと思いつつ、「2月は逃げる」というように、あっという間に3月が到来。

 

「三日三晩、領収書の整理に追われ、締切の3月15日に税務署に駆け込んで、やっと間に合いました・・・」といったボヤキが聞かれるのも、3月の風物詩、〝自営業あるある〟でしょうか。

 

徹夜状態となるのは自業自得としても、なぜこんなに大変なことになるのか。それは、日本の納税の仕組みが「申告納税制度」を基本とするゆえです。

 

つまり、自分自身で稼ぎを申告し、納税を決める。サラリーマン時代は会社がやってくれていたことを、自己責任のもと、やらねばならなくなるわけです。

所得税の基本的な仕組みを知り、上手に付き合っていく

所得税のもう一つの特徴が「累進課税制度」といって、所得が高いほど税率が高くなることです。しかも、所得税の税率は年々、増税傾向にある。これも心しておきたい時代の流れです。

 

税率は以下の図表の通りですが、平成27年度には最高税率が45%にアップ。住民税を合計すると、所得の半分以上を持っていかれる計算です。

 

[図表]所得税の速算表

出典)国税庁HP
出典)国税庁HP

 

所得によって細かく税率が設定され、増税傾向にある所得税に対し、法人税は逆。減税傾向にあります。

 

とくに資本金1億円以下の中小法人の税率については、年間所得800万円以下の金額に対する税率が、平成24年4月以降、措置法により19%から15%に引き下げられ、平成29年3月31日までの特例延長が決まっています。

 

「個人事業主で所得が一定以上高くなってきたら、法人化したほうがトク」と言われているのは、こうした事情が背景にあります。また、所得と一口にいっても、10種類の区分があり、一定の所得については、税額の計算方法が異なります。

 

何かと「ムズカシイ」イメージがつきまとうかもしれませんが、これから長~いお付き合いとなる所得税。まずは基本的な仕組みを知り、少しずつ仲良くしていきましょう。

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    本連載は、2017年2月24日刊行の書籍『どんどん貯まる個人事業主のカンタンお金管理』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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    櫻井 成行

    幻冬舎メディアコンサルティング

    個人事業主にとって、日々のお金の管理や確定申告は、頭を悩ませることのひとつです。忙しい仕事の合間を縫って、毎年〆切ギリギリに何とか税理士に資料を提出する、という人も少なくないでしょう。数字や計算が苦手な人は特に…

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