肩関節の基本的な動作で使われる筋肉とは?

前回は、肩周囲の筋肉が硬くなった場合に起こり得る問題を解説しました。今回は、肩関節の基本的な動作で使われる筋肉について見ていきます。

上腕を動かす時にはどんな筋肉が使われているのか?

肩は可動域の広い関節ですが、具体的にどれくらい動かせ、そのときにどこの筋肉が働いているのかを知ることは、肩関節を理解するうえでも大切ですので、この機会に覚えておきましょう。これによって何気なく行っている日常の動作で、どこの筋肉を使っているのかもわかることと思います。

 

上腕を前方に上げる動作を「屈曲」といい、下垂状態から上腕を後ろに上げることを「伸展」といいます。上腕は、屈曲で0度~180度、伸展では0度~60度の可動域があります。屈曲では主に三角筋の前部や大胸筋の上部、烏口腕筋を使い、伸展では主に広背筋、大円筋、小円筋、三角筋の後部を使っています。

 

[図表1]肩関節の可動域

 

皆さんがストレッチをするときなど、よく耳にする言葉に「外転と内転」「内旋と外旋」があるかと思います。

 

外転は上腕を側面に上げる動作で0度~180度、内転は下垂状態から内側に動かす動作で可動域は0度です。外転では主に棘上筋や三角筋の中部を使い、内転では主に広背筋や大円筋、大胸筋を使っています。

 

 

[図表2]

 

外転と内転には、さらに水平外転と水平内転という動作もあり、これは文字通り上腕を水平に動かすことで、水平外転は0度~30度、水平内転は0度~130度の可動域があります。水平外転では主に三角筋の後部、棘下筋、小円筋を使い、水平内転では主に大胸筋と三角筋の前部を使っています。

 

[図表3]

胸の筋肉や背中の筋肉も大きく関わっている肩関節

これらの動きに対して、「小さく前へならえ」の位置から脇を閉めたまま外側に回す動きをを外旋、「小さく前へならえ」の位置から内側に回す動きを内旋といいます。内旋は80度、外旋は60度の可動域があり、内旋では主に肩甲下筋や大胸筋、広背筋、大円筋を使い、外旋では主に棘下筋と小円筋を使っています。

 

 [図表4]

 

このように見ていくと、肩関節の動きには胸の筋肉や背中の筋肉が大きく関わっていることが理解できるのではないでしょうか。ですから肩甲骨の動きが重要なのです。肩は、上腕と肩甲骨が2:1の割合で動いています。

 

例えば、腕を90度外転したとき、腕の動き自体は60度、肩甲骨自体が30度、動きとしてはトータルで90度上がっています。肩甲骨が動かなければ、同じ90度を上腕骨の動きだけで上げるようになるため上腕骨に負担がかかり、ひいては肩関節にも負担がかかるのです。こうして、見た目はきちんと動いていても、姿勢が悪いなどで肩の使い方に無理があると、他の部分が動きを代償することとなり、傷めやすくなります。

麻生総合病院 スポーツ整形外科部長

肩治療のスペシャリスト。
医学博士。日本整形外科学会認定専門医。日本肩関節学会代議員。日本整形外科スポーツ医学会代議員。昭和大学藤が丘病院兼任講師。
専門分野はスポーツ整形外科、肩肘関節外科、関節鏡視下手術。
1990年昭和大学医学部卒業。
現在は、同病院で勤務医として活躍するだけでなく早稲田大学ラグビー蹴球部のチームドクターを務める。

著者紹介

連載スポーツ整形外科医が教える 肩とその痛みの基礎知識

「肩」に痛みを感じたら読む本

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鈴木 一秀

幻冬舎メディアコンサルティング

四十肩(五十肩)の発症率は70%を超え、もはや国民病と言っても過言ではありません。 一般に、肩の痛みや違和感は放置する人が多いのが実情ですが、手遅れの場合、尋常ではない痛みと共に日常動作をままならなくなり、最悪の…

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