前回は、肩の「インナーマッスル」と「アウターマッスル」の働きについて取り上げました。今回は、肩周囲の筋肉が硬くなることで起こる問題点について見ていきます。

筋線維の緊張が血流悪化の原因に

筋肉は一本の太い塊ではなく、非常に細い筋線維がたくさん集まっており、その中を血管や神経が通っています。これらはバラバラにならないように、周りを筋膜という丈夫な袋で覆われています。

 

筋線維が緊張すると、一本一本が太く短くなって筋膜の袋いっぱいに広がります。こうなると袋はパンパンになって膨れ上がります。力コブをつくったときに硬くなるのは、筋肉が緊張して太くなった筋線維で袋がパンパンになっているからです。これによって筋膜の中では筋線維の押し合いが起こります。その圧力で、押し潰されるのが筋線維の中を通っている血管や神経です。そのために血流が悪くなり、筋肉も硬くなってしまいます。

うっ血で筋肉の柔軟性が失われ、肩関節の動きが悪化

特に静脈の血管は、動脈のように自ら脈を打って重力にも助けられながら血液を送っているのとは違って、血液を通す柔らかいパイプです。そのため、筋線維の圧力で簡単に押し潰され、うっ血を起こします。といっても、筋肉が緊張すること自体は悪いことではありません。

 

例えば、運動などを行うと、筋肉は緊張と弛緩を繰り返します。これは、筋肉にとって好都合なことでもあります。弛緩したときには新鮮な血液がドッと送り込まれ、次に緊張すると老廃物を含む血液が絞られるように流されるからです。つまり、筋肉の緊張と弛緩がリズミカルに行われることで、静脈は自ら脈を打たなくても重力に逆らって血液を心臓に送り返すことができるのです。

 

しかし、筋肉の緊張は、弛緩と組み合わされて初めて仕事を全うすることができるのです。緊張だけが長期間続くと、新鮮な血液を送ることも、老廃物を回収することも困難になります。その一つが肩凝りで、うっ血した血液の中に老廃物が溜まった状態ともいえます。こうなると、肩はガチガチに硬くなります。

 

肩周囲の筋肉が硬くなれば、血流が悪くなるだけではなく、筋肉の柔軟性も失われ、肩関節の動きが悪くなったり、こわばったりしてきます。

 

最近は、「筋膜リリース」とか「筋膜はがし」といわれるストレッチが注目されています。これは、パンパンに張って硬くなった筋膜をほぐして血流を改善し、柔軟性を取り戻すというものです。

 

筋肉が硬くなれば姿勢も保てなくなり、さらに筋肉が緊張して血流を阻害するという悪循環に陥ります。

 

[図表]肩周囲のアウターマッスル

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