肩凝りと「四十肩・五十肩」は別物
一般的には、「肩の凝りや痛み」と表現されることが多いため、肩凝りがひどくなって痛みが現れた状態が四十肩・五十肩だと思われがちです。
しかし、肩凝りと四十肩・五十肩は別物なのです。肩凝りは筋肉疲労によって引き起こされる症状で、凝りがひどくなり痛みとして感じることはあっても、肩を自由に動かすことができます。
これに対して四十肩・五十肩は、肩関節の周囲で起こる炎症が原因の症状で、痛みに伴い肩の動きが制限され、腕を上げることができなくなります。つまり、肩を動かせるかどうかが、両者を見極めるポイントの一つというわけです。
「四十肩・五十肩」予備軍は相当な割合で存在する
そうはいっても四十肩・五十肩は、多くの場合、肩関節への負担が長期にわたって蓄積されることで炎症を引き起こしていますので、例えば姿勢が悪いとか、パソコンやスマホのように腕や肩を使う動作を長く続けるといった、肩関節に負担を強いるような日常生活を送っていると、いまは何でもなくても将来的に発症するリスクが高まります。
そして、肩関節に負担をかける生活習慣は、肩の筋肉を緊張させ肩凝りの原因とも重なることから、四十肩・五十肩になる要因の一つとして肩凝りも挙げられるわけです。
ですから四十肩・五十肩が低年齢化してきた背景には、運動を行う機会が少なくなったり、仕事でもプライベートでもパソコンやスマホを操作する時間が増えたという生活習慣の変化が起因していると思われます。
そう考えると、いまや肩凝りは国民病ともいわれ、厚生労働省が3年ごとに実施している『国民生活基礎調査』でも、身体の悩みとして肩凝りは女性で第1位、男性で第2位と報告されていますから、年齢に関係なく肩関節を酷使していれば、いつ四十肩・五十肩になってもおかしくない予備軍が相当な割合で存在するといえるでしょう。
さらに、最近はゲームやスマホを使う時間や、学習時間が長くなったなどの原因で、小中学生の肩凝りも増えています。大人と違って成長過程にある子供の肩凝りは、心身の健康のバランスが崩れるとして問題にもなっています。このままでは、さらなる四十肩・五十肩の低年齢化も進む状況にあります。
このように、肩凝りと四十肩・五十肩は別物でありながらも深く関わっているために、肩が痛くて腕が上がらなくても肩凝りだと勘違いしている人が多く、肩凝りで医療機関を受診するのは気が引けると思って放置してしまうのはないでしょうか。
しかし、肩凝りではなく四十肩・五十肩であった場合は、何の手当てもしないでいると、その先にはもっとつらい試練が待っているかもしれないのです。