前回は、肩凝り、四十肩・五十肩の症状の違いを説明しました。今回は、四十肩・五十肩を放置すると、どのような事態に陥るのかを見ていきましょう。

放置すると一時的に痛みは引くが・・・

今はパソコンやスマホで検索すれば、知りたい情報は何でも簡単に得られる時代です。〝肩が痛い〟で検索すれば、〝四十肩・五十肩〟というワードがたくさん出てきますので、自分は四十肩なのだと勝手に解釈して、腕が上がらず、痛みにも悩まされるものの、そのうち自然と治るから心配いらないと安心する人もいると思います。

 

ところが、対処法を間違えると、最終的には手術が必要になってしまうこともあるのです。

 

専業主婦のAさんも、その一人でした。ある日、朝起きると右肩の激しい痛みに襲われ、あまりの痛さに腕を上げることができなくなりました。肩をぶつけたとか、転んだという心当たりがなかったので、急に出た痛みに不安を感じて病院に行こうと思いました。

 

すると、左手だけで顔を洗って髪をとかし、痛みをこらえながら着替えをしている様子を見ていたご主人から、「それは五十肩だな。君も年を取ったということだ」と笑われてしまったのです。

 

ご主人の言葉にムッとしたものの、確かに家庭の医学事典で調べると五十肩の症状にピッタリでした。そこで、自然に治るのなら病院に行くほどのことではないと判断し、市販の湿布薬を貼って肩を動かさないようにして過ごしていました。

 

おかげで徐々に肩の痛みが和らいでラクになってきました。「やはり五十肩だったのだ」と安心して、痛みがぶり返すのを恐れたAさんは右肩を動かさないように生活していると、1カ月後にはすっかり痛みも取れていました。

対処法を間違えると肩が硬くなって動かなくなる!?

ところが、痛みは取れたものの、ずっと肩を動かさずにいたことで硬くなり、腕が上がりづらくなってしまったのです。洗髪やドライヤーをかけたり、エプロンを後ろで結ぶことができないなど、日常生活動作(ADL)に難儀するようになりました。

 

それでも、五十肩がまだ完全には治っていないからだと思い込み、回復すれば腕が上がるようになると信じて、無理に動かして再発しないようにと不自由な生活を続けていました。

 

そんな生活が1年半ほど続いた頃、一向に良くなる気配がなく、むしろ肩が固まって完全に動かなくなったため、さすがに「これはおかしい」と感じて来院されました。

 

Aさんの話から、罹患期間が2年近くに及ぶことからMRIを撮って確認したところ、骨には異常がなく、確かに五十肩ではありました。しかし、拘縮を起こしている状態で、いわば五十肩の終末像といえる状態ですので、もはやリハビリだけで治すのは困難となり、年齢的なことを考えると手術をしたほうが良いとお勧めしました。

 

人生80年の時代ですから、Aさんの人生もまだ30年以上あります。残りの人生を有意義に過ごすためにも、ここは手術を受けるのがベストと考えたAさんは、手術を受けることにしたのです。

 

幸い、Aさんの場合は内視鏡による手術で済みましたので比較的負担も少なく、その後もリハビリのために通院し、半年後には肩の柔軟性が回復して腕が上がるようになりました。

 

Aさんは、ただの五十肩だと軽く見て対処法を間違えたために、手術をしなければならない事態にまで進んでしまいました。

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