前回は、一石二鳥ともなりうる、矯正歯科治療がもたらす「副次的効果」について取り上げました。今回は、欧米では一般的な 「矯正歯科治療がステイタス」になる文化について見ていきます。

欧米では「矯正装置の存在」が親の愛情の証に!?

欧米では、矯正装置を付けている姿は一種のステイタスシンボルと受けとめられています。そのため、あえて目立ちやすいシルバーのワイヤー装置を希望する患者さんも多いそうです。

 

もし子どもが矯正装置を付けていれば、その子は周囲から「親から愛され、きちんと面倒を見てもらっている。手をかけてもらっている」と判断され、さらには「しつけや教育も行き届いているのだろう」とプラスのイメージをもってもらえます。大人の場合も、「この人は、きちんと自己管理ができている人物だ」と見てもらえます。

 

矯正歯科治療に関する情報をいろいろとチェックしてみると、最近では、日本でも「歯の矯正装置はファッションの一部」とか「矯正装置を付けたい人が増えている」と紹介しているメディアが目立つようになりました。また、インスタグラムやツイッターなどのSNSでは、矯正装置を付けた自撮りの投稿などをたくさん見つけることができます。

 

日本ではまだまだ「矯正歯科治療が広く一般的になった」といえる状況ではありませんが、欧米のような「矯正歯科治療がステイタス」となる文化は、少しずつ浸透してきているのではないかと感じています。

矯正歯科治療も「おしゃれ」に楽しむ

矯正歯科治療で最も一般的なものは、欧米でもほとんどの人が選んでいる、ワイヤーを歯の前面に取り付けるマルチブラケット装置を使った矯正歯科治療となります。この矯正歯科治療は、歯にブラケットという装置を取り付け、そこにワイヤーを通し、モジュールというゴムや結けっ紮さつ線せんというワイヤー線で固定して調整を行っていく治療方法です。

 

モジュールには普通、透明のゴムが使われますが、ほかにもピンクやイエロー、グリーンやブルーなど、カラフルなモジュールもいろいろと揃っています。

 

このカラフルなモジュールは、子どもの矯正歯科治療で使われることもよくあるのですが、近頃では特に、若い女性たちの間でカラフルなモジュールを選ぶ人が増えています。

 

原宿の女の子たちに人気のファッションモデル、紅林大空さんは、自身の矯正歯科治療の器具にカラーモジュールなどを付けてかわいく飾っていました。矯正後の保定装置のリテーナーにもあえてカラーを取り入れるなどして、矯正歯科治療におしゃれをプラスし、ファッション感覚で楽しんでいるようです。

 

矯正歯科治療は定期的に通院して少しずつ調整を行っていくのですが、そこでモジュールを交換する時に前回と違う色を選んだり、季節やイベントに合わせてコーディネートを楽しんだりすることもできます。

 

矯正歯科治療は長期間になります。多少の痛みや煩わしさがあるのも事実ですが、「せっかくだから、装置でもおしゃれを楽しみたい」と治療をポジティブにとらえることは、気分転換やリフレッシュにもつながり、治療を続ける励みになることでしょう。

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宮島 悠旗

幻冬舎メディアコンサルティング

歯学博士であり、フリーランス矯正歯科専門医として活躍している宮島悠旗氏。両親ともに歯科医師という宮島氏にとって、口元のケアは当然のエチケットとして育てられてきたといいます。しかしながら世間を見渡せば、口元に気を…

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