前回は、大人になってから矯正歯科治療をするメリットを取り上げました。今回は、一石二鳥になり得る矯正歯科治療の「副次的効果」の例を見ていきます。

正しい咀嚼で小顔効果・痩せ効果が出る人も

前回の続きです。

 

次は、世の女性たちの憧れである「小顔」についてです。女性誌や書籍、インターネット上などでも、小顔メイクや小顔ストレッチ、小顔に見せるファッションコーディネートといったものが、多くのノウハウ付きでたびたび紹介されています。

 

「矯正歯科治療をしたら、小顔になった」という喜びの声はよく聞きます。矯正の治療中や治療後に「顎のラインがシュッとして、痩せたように見られる」と話す人もかなりの数にのぼります。

 

これらには、いくつかの要因があると考えられます。

 

◆歯並びが整って顔のゆがみが解消されたことで、顎のラインがすっきりとして小顔に見えます。

 

◆噛み合わせが良くなると、食べ物をきちんと噛めるようになります。すると、顎に付いている筋肉が引き締まって、口から下のラインが細まって小顔になったように見えます。

 

◆矯正歯科治療中は矯正装置を付けていますから、どうしてもそれに慣れず、食事が摂りづらい時期があります。一度に口に入れる量が少なくなり、よく噛むうちに満腹感がいつもより早く感じられ、結果的に食べる量が減ったりします。食事量が減れば、ダイエット効果を上げられます。また、装置の異物感や痛みなどがあって自然と食欲が落ち、間食をしなくなったり、食べる量が抑えられたりすることもあります。

 

◆矯正歯科治療中は歯が移動する時の痛みを緩和するために、食事はお粥や野菜スープなど、少しの力で咀嚼できる、柔らかくて消化のよいメニューを選びやすくなります。これも当然のように、ダイエット効果を得られるものです。

 

◆外科手術を用いる場合、手術後しばらくは流動食となります。ひと月ほど普通の食事を摂ることができなくなるので、この時期に体重が落ちるということもあります。

 

矯正歯科治療をするすべての患者さんがそのようになるというのではありませんが、多くの人は、治療前と治療中とで食生活が違ってくるようです。

 

矯正して正しい噛み合わせになると、きちんと咀嚼する回数が増え、満腹中枢に刺激が与えられるようになります。これも、自然と食べ過ぎが抑えられるという効果をもたらします。

長い治療期間を前向きに過ごす工夫も必要

私が診ている患者さんの中には、治療を始めてから、毎月、自分の顔と歯並びを写真に撮って記録をつけているという人もいます。自分自身で歯の動きや顔の変化がしっかりと確認できるため、「もうここまで効果が出た」「治療が完成するまで、あとひと息」「私はもっときれいになれる!」というようにモチベーションを上げられるそうです。

 

ほかにも矯正歯科治療中、きれいな歯並びや正しい噛み合わせ、素敵なスマイルラインを手に入れる日を楽しみにしつつ、治療期間もさまざまな工夫をしながら日々を過ごしている患者さんがたくさんいます。その前向きな姿勢もまた、内側からの美しさを引き出しているのではないでしょうか。

 

治療には長い期間がかかりますが、その間に栄養バランスを考えた野菜スープをよく食べるようになったり、ながら食いをやめたりするうちに、ヘルシーな食習慣が身につくという人もいるでしょう。

 

矯正歯科治療は「噛み合わせを正しく、歯並びをきれいに整える」ための治療ですが、こうした〝おまけのヘルシー&ビューティ〟が手に入ることも期待できます。

国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”

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宮島 悠旗

幻冬舎メディアコンサルティング

歯学博士であり、フリーランス矯正歯科専門医として活躍している宮島悠旗氏。両親ともに歯科医師という宮島氏にとって、口元のケアは当然のエチケットとして育てられてきたといいます。しかしながら世間を見渡せば、口元に気を…

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