前回は、歯並びや口角から「正しい噛み合わせ」を確認する方法を取り上げました。今回は、噛み合わせに影響を及ぼす日常生活の「クセ」について見ていきます。

日頃の「クセ」で噛み合わせのバランスが悪くなる!?

噛み合わせを悪くする原因の中で、意外と大きな影響を及ぼしているのが、日頃のクセや生活習慣です。

 

たとえば、いつも座っているところの右側にテレビがあるので、テレビを見る時は決まって顔を右に向けている、ということはありませんか?

 

デスクの左側にパソコンを置いているので、いつもそちらに身体を向けて仕事をしているということはないでしょうか。

 

同じ方向に顔を傾ける状態が日常的になっていると、そのせいで歯並びがずれてくることがあります。

 

そのほか、舌でいつも上の前歯を押していたり、逆に下の前歯を押すクセがあったり、指しゃぶり、ツメを噛む、ペンやものをかじる、唇を噛む、下の顎を突き出すというような無意識のクセがある人は、前後の噛み合わせのバランスが悪くなりやすいのです。

 

食事の時に左右どちらか一方に偏って噛む人や、テレビを観たり子どものほうを向いたりして食べている人、頬杖をつくクセのある人、口を開けて音を立てて食べ物を噛んでいる人、悪い姿勢で食事をしている人なども、噛み合わせの左右のバランスが崩れやすくなります。

 

また、早食いでものをあまり噛まずに丸飲みするクセのある人や、食事中に水分を飲んで食べ物を流し込んで食べるクセのある人、ものを飲み込む時舌で前歯を押すクセのある人は、上の前歯と下の前歯の間にすき間ができて、奥歯を噛んでいるのに前歯は噛み合わないということになってしまう場合があります。

 

これらのクセや生活習慣があるならば、できるだけ意識的に、そのクセや習慣を無くすように努力をしていきましょう。子どもの場合は特に、クセが無くなるまで家族が注意し続けるようにしてください。

鏡を見ながらの噛みグセをチェックも、意識改善に有効

食事の時は「テレビを観ながら」「スマートフォンをいじりながら」「本を読みながら」などの”ながら食い”をせず、きちんと正面を向き、姿勢を正して、口を閉じて食べ物を噛むように意識することが大切です。

 

もし、どうしてもテレビを観ながら食事をしたいというのでしたら、せめて正面を向いた姿勢で食べられるよう、テレビの位置を変えるなどの工夫をしてはいかがでしょうか。

 

また、家族で食事をする場合、座る位置はだいたい決まっているとも思いますが、座る位置によって顔を向ける位置のクセがつきやすいことを考えると、時々席替えをしてみるのも一考です。

 

左右どちらかに偏って噛むクセがあるという場合は、虫歯や歯周病などが原因で、そちら側の歯で食べ物をうまく噛めないということも考えられます。一度、歯科で検診を受け、虫歯などがあれば治療をしてください。子どもの場合、片側の乳歯がぐらぐらしていて、反対側でしか噛めない状態が続くことで、片側で偏って噛むクセ(片咀嚼)になることもあります。この場合も乳歯を抜いた方が良いか、一度歯科で検診を受けてください。

 

噛み合わせは、意識して合わせるようにしているうちに少しずつ改善されていくことがあります。鏡を見ながら噛みグセをチェックすることも、意識の改善に役立ちます。

 

奥歯でものを噛んでいる状態で笑顔をつくり、上下の前歯の真ん中が一致しているかどうかをチェックするなど、マメに鏡を見て歯並びを確認することは、逆に身につけたい習慣です。

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宮島 悠旗

幻冬舎メディアコンサルティング

歯学博士であり、フリーランス矯正歯科専門医として活躍している宮島悠旗氏。両親ともに歯科医師という宮島氏にとって、口元のケアは当然のエチケットとして育てられてきたといいます。しかしながら世間を見渡せば、口元に気を…

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