平成25年時点で、外国人労働者の数は「717,504人」
日本における外国人雇用については、厚生労働省が発表している「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(平成25年10月末現在)」(平成26年1月31日)によって、その概要をつかむことができます。
これは本書でも説明する外国人労働者の雇入れ・離職時にハローワークへ届け出る「外国人雇用状況の届出制度」の届出状況を取りまとめたもので、厚生労働省が定期的にその内容を公表しています。以下では、平成25年10月末現在の内容を抜粋し、最近の傾向と対策をまとめました。
①外国人労働者を雇用している事業所及び外国人労働者の状況
平成25年10月末現在、外国人労働者を雇用している事業所数は126,729か所で、外国人労働者数は717,504人でした。
これは平成24年10月末現在の119,731か所、682,450人に対し、6,998か所(5.8%)の増加、35,054人(5.1%)の増加となりました。外国人を雇用している事業所数、及び外国人労働者数ともに平成19年に届出が義務化されて以来、過去最高の数値となっています。
外国人労働者数が増加した要因として、現在、政府が進めている高度人材、留学生の受入れが進んできていることがあげられます。それに加え、依然として一部に厳しさがあるものの、雇用情勢が改善傾向のうちに推移していること、外国人労働者を雇用した場合の届出制度の浸透が進んでいることなどの影響も考えられます。
中国国籍が最も多いが、ベトナムも大幅に増加中
②外国人労働者の属性
外国人労働者を国籍別にみると、中国が最も多く303,886人で、外国人労働者全体の42.4%を占めます。次いでブラジル95,505人(同13.3%)、フィリピン80,170人(同11.2%)、ベトナム37,537人(同5.2%)の順となっています。特にベトナムについては対前年同期比で10,709人(39.9%)増加しており、大幅な増加となっています。
[図表1]国籍別外国人労働者の割合
一方で、在留資格別にみると、「身分に基づく在留資格(※1)」が外国人労働者全体の44.4%を占め、次いで技能実習生等の「技能実習」が19.0%、「専門的・技術的分野の在留資格(※2)」が18.5%となっています。
(※1)身分に基づく在留資格:永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
(※2)専門的・技術的分野の在留資格:教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能
専門的・技術的分野の外国人労働者は132,571人と前年同期比で8,312人(6.7%)増加しており、専門的な知識・技術を持つ外国人の雇用が拡大しています。また、「資格外活動(留学)」が102,534人と前年同期比で10,807人(11.8%)増加しています。
[図表2]在留資格別外国人労働者の割合
さらに国籍別・在留資格別にみると、中国は「技能実習」が31.8%、「資格外活動(留学)」が23.0%、「身分に基づく在留資格」が21.4%となっています。
ブラジル及びペルーは「身分に基づく在留資格」がそれぞれ99.4%、99.3%を占めています。なお、ブラジル及びペルーの「身分に基づく在留資格」の内訳では「永住者」の割合が最も高く、国籍別の外国人労働者数に占める「永住者」の割合は、ブラジル国籍者が46.7%、ペルー国籍者が59.8%となっています。
フィリピンは「身分に基づく在留資格」が83.5%であり、うち「永住者」が45.8%を占めています。ベトナムは「技能実習」が45.8%、次いで「資格外活動(留学)」が24.7%となっています。G8諸国や韓国は「専門的・技術的分野の在留資格」がそれぞれ58.9%、41.7%を占めています。