雇用する留学生が「資格外活動許可」を得ているか?
宿泊業・飲食サービス業では、労働力不足を背景に外国人留学生のアルバイト採用が盛んに行われています。
外国人留学生をアルバイトとして雇用する際は、留学生にも労働基準法や最低賃金法など、基本的には日本人と同じ法律が適用されます。つまり、留学生であっても、きちんと労働契約を交わす必要があり、所定の要件を満たせば保険加入や有給休暇の付与も必要で、ひとたび雇用すれば、よほどの理由がない限り、解雇できない点も日本人と同様です。
日本人と唯一違う点は入管法の適用であり、「アルバイトを行うことができる留学生は、入国管理局から『資格外活動許可』を得ている者のみ」と定められています。そのため、最も注意しなければならないのが、入管法19条2項が定める資格外活動です。
この場合、まずは雇用しようとする外国人留学生が「資格外活動許可」を得ているかを確認しなければなりません。
外国人留学生が「資格外活動許可」を受けている場合には、書類やシールタイプの「資格外活動許可書」が発行されていたり、あるいは、留学生が適法に在留する者であることを示す「在留カード」の裏面に、その旨が記載されていたりします。
在留カードで確認する場合は、裏面の「資格外活動許可欄」を確認し、ここに「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」と記載があるかを確認し、併せて、「在留資格」が留学であるか、「在留期間」が超過していないか、といった点も確認する必要があります。
また、資格外活動許可違反で最も多いのが、労働時間数のオーバーです。外国人留学生が複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は、週の労働時間が他社のアルバイトとの合計で28 時間以内になるようにしなければなりません。
自社で雇った留学生が28 時間以上働いていたことが発覚すると、本人は在留資格の更新を行うことができなくなり、雇用していた企業も処罰の対象となってしまいます。
また、あくまでも外国人留学生の本分は学業であり、試験前や試験期間中には休みを用意するといった配慮を行うことも必要です。
契約時に意思疎通ができず、トラブルに発展する例も
外国人留学生の面接時には、「資格外活動許可」の有無を口頭で確認し、応募してきた留学生が「資格外活動許可」を持っていない場合は、契約時までの取得が必須条件となります。
「資格外活動許可」は早いうちに確認しておくことがベストですが、面接の段階で書類や在留カードの提示まで求めることには、プライバシー面の問題もあるため、この時点では口頭確認にとどめた方がよいでしょう。
また、内定時には「資格外活動許可」を持っていない留学生に申請を促すとともに、「労働契約書」を準備します。
労働条件は、雇用後に留学生とトラブルになりがちです。それは、日本語能力の問題で契約時の意思疎通がうまくできておらず、後から「聞いてない」といわれてしまうケースが多いためです。
その対策として、契約書や労働条件通知書といった書類の準備を行います。特に、書類は留学生が読んで理解できる言語で作成することが理想的です。
契約する段階になったら、実際に「資格外活動許可書」か「在留カード」をみせてもらい、「資格外活動許可」があることを確認した上で、労働条件を明示した書面を交付し、契約書に署名をもらうことになります。
この時点で「資格外活動許可」を得ていることが確認できなければ、労働契約の締結は諦めざるを得ません。
仮に、この確認を怠れば、不法就労者を雇用するような事態も起こり得るため、入管法で不法就労の助長罪(同法73 条の2 第1 項)に問われる可能性もあります。「資格外活動許可」をとらずに働いた留学生本人は資格外活動違反となり、日本からの退去強制の対象にもなり得ます。
このように、外国人留学生をアルバイトとして採用する際には、資格外活動違反に十分に気を付けるようにしてください。