まずは「雇用状況」が適正であるかを確認
教育・学習支援事業においては、外国語教室の講師などとしての外国人雇用は当たり前となっています。
とはいえ、最近では1人の講師を1社が正社員として採用することは難しく、フリーランサーや人材派遣など、様々な雇用形態で働く外国人講師が急増しています。中には在留資格の申請前に労働法規に抵触する雇用形態である場合も見受けられるため、まずは雇用状況が適正であるかを確認することが前提となります。
最近では語学教室が、公立の小学校や中学校・高等学校にALT(Assistant Language Teacher)として、語学教師を配置する動きも多くみられます。
この際、語学教師は一般的には「技術・人文知識・国際業務」の在留資格となりますが、公立学校に派遣された場合には、在留資格「教育」へと変更されることとなります。
公立校での勤務が継続的に続けば問題がないのですが、通常は2~3年で公立学校から私企業での語学教師に切り替わることが多く、その場合には、再度「技術・人文知識・国際業務」の在留資格へと変更されることになります。
従業員が永住申請を希望する場合、人事配置上の配慮を
この場合、問題となるのが永住権の取得です。在留資格「永住者」の取得には、「現在所持する在留資格の最長の在留期間をもって在留していること」と定められています(※1)が、在留資格の変更を繰り返す語学教師の場合には、なかなか最長の在留期間が与えられないことがあります。このため、永住申請を希望する外国人従業員に対しては、将来の計画も踏まえた上で、雇用企業は人事配置上の配慮をする必要があります。
(※1)法務省「永住許可に関するガイドライン」(平成18年3月31日)
また、フリーランサーの場合には、外国語講師に許可されることが多い翻訳・通訳としての「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では就くことができない職種の業務を引き受けてしまい、結果として資格外活動違反となる事例もみられます。
例えば、当初はイベントなどの「司会の通訳」として活動していた人が、次第に自らが「司会の仕事そのもの」をするようになった場合です。このケースでは「技術・人文知識・国際業務」の該当範囲から外れ、在留期間更新時などに問題となる可能性が非常に高くなります。
フリーランサーの在留期間の更新申請においては、1社の勤務先という概念がないため、いくつかある業務発注先のいずれかからの押印などが必要となります。在留資格手続の協力を求められた場合には、まず資格外活動違反がないかを本人に確認することが重要です。