今回は、どのようなものが財産となり、相続税の対象となるのかを見ていきます。※本連載は、エクスプレス・タックス株式会社の代表取締役で、税理士の廣田龍介氏による著書、『事例でわかる高齢化時代の相続税対策』(毎日新聞出版)より一部を抜粋し、相続の基本的な知識を、事例を交えながら紹介します。

まずは財産の棚卸しをして、相続税額を知る

2015年1月以降、相続税の基礎控除が引き下げられた。課税基準が厳しくなった話とともに、あちこちから相続にまつわる悩みの声が聞こえてくる。

 

「あそこの主人が突然、脳梗塞で入院ですって。敷地が広いから相続税が大変ね」とか、「お隣のご主人、認知症の疑いがあるって。奥さま、相続のことで悩んでらっしゃるみたい」などなど・・・。

 

健康で元気なうちは、相続のことなど気にすることもなく、頭の隅に追いやられているが、病気になったり、老いを感じたりすると、「さて財産をどう残そうか」と心配になるもの。

 

そんな時こそ、財産を棚卸しする絶好の機会である。漠然と不安を抱えて心配するより、財産の棚卸しをして、相続税額を知り、不安を消してしまえばいい。

金目のものはすべて財産、相続税の課税対象に

自分の財産・債務がいくらあるのかは、自分が一番よく知っている。突然に相続が生じると家族はどこから手を付けてよいか分からず、相続税の申告期限を迎えてしまうことが多い。

 

まずは財産・債務の明細を作ることから始めよう。さて、財産と債務とはどんなものか。以下にまとめたのでご覧いただきたい。

 

<財産>

預貯金(名義預貯金を含む)

有価証券(国債、公社債、株式、投資信託など)

土地(宅地、田、畑、山林、原野など)

建物(自宅、貸家、倉庫など)

借地権(普通借地権、定期借地権など)

貸付金、債券

ゴルフ場などの会員権

書画・骨董品

金、宝石、貴金属

生命保険、退職金などのみなし相続財産

家財道具など

 

<債務>

借入金など(住宅ローン、自動車ローン、友人、知人からの借金)

友人、知人の債務保証(保証人になっている、抵当権を付けている)

 

俗に、金目のものはすべて財産に該当するが、税務の面から見落としがちな財産がいくつかある。

 

この話は次回に続く。

本記事は、毎日新聞のニュースサイト「経済プレミア」に2015年6月から連載されている「高齢化時代の相続税対策」と、同名の書籍(毎日新聞出版刊)を元にしています。その後の税制改正などには対応していない可能性もありますのでご了承ください。

事例でわかる 高齢化時代の相続税対策

事例でわかる 高齢化時代の相続税対策

廣田 龍介

毎日新聞出版

相続税が増税され、富裕層でなくても相続の正しい知識と対策が必要な時代になりました。少子高齢化・長寿化で生前対策の重要性も増しています。あなたの大事な資産を生かす方法を、税理士の廣田龍介さんが指南します。毎日新聞…

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