「子供・孫名義の預金」も相続財産となる可能性が
前回の続きである。今回は、ついつい見落としがちな「相続税の対象となる財産」とは何かを説明する。
その一つが名義預貯金。例えば、祖父が未成年の孫のために開いた銀行口座などを指す。贈与を申告するなど説明のつく資金移動をしていれば問題ないが、そうではない、配偶者や子供、孫名義の口座は、名義預金として計上・申告する必要がある。
税務調査では、やりくり上手な配偶者のへそくりを「夫のお金を奥さん名義で貯金していたのですね」などと指摘されることが多いので、要注意だ。
二つ目は、貸金庫や自宅金庫のチェック。現金、金の現物、保険証券、権利書、保証書など、価値あるものが眠っていることが多い。
三つ目は、同族会社、友人、知人に対する貸付金だ。存在しているかどうかこの際確認してみてはどうだろうか。
四つ目は、隠れた債務(借金)。個人的に保証人になっている場合や不動産を担保提供している場合だ。不確定債務は債務として認識できないので、整理のための棚卸しが必要だ。
持っている銀行・証券口座を確認し、明細を作る
不動産や債務については税理士に相談し、調べるのが確実だが、まずは身の回りにある銀行・証券口座などを確認し、明細を作ってみよう。
明細ができれば、現時点の相続税額を計算することができる。そこで初めて「納税資金はあるのか」「どう分割すればいいか」「どう節税できるのか」の戦略を練ることができるのである。