中古vs新築、長期シミュレーションで総合的に判断
前回の続きです。
では、新築物件の場合はどうでしょう。
新築の収益物件を専門会社から購入する場合は、他県在住でも同じタイミングで新規分譲の情報を得られるうえ、提携金融機関が付いているので融資付けの問題もありません。しっかりした管理部門がある会社から購入すれば、購入後の管理や運営まで全部パッケージになっているので、忙しい方や知識のない方でも全てお任せで運営できるという安心感があります。
京都の収益物件を探している投資家の場合、最初は一棟物や中古物件を探していても、結局は「新築の区分マンション」という選択に落ち着くケースが多いのです。実際、これが一番簡単で確実に良い物件を購入でき、運営もしやすいことは間違いありません。
新築マンションは見かけ上の投資利回りは低くなりますが、提携金融機関から低利で長期間のローンをほぼ全額借りることができます。また、減価償却期間が長くとれ、節税効果も高くなります。中古物件と新築物件、どちらのメリットが大きいか、長期間のシミュレーションで総合的に判断すべきでしょう。
ただし新築の投資用マンションを購入する場合、すでに良質な物件を分譲している実績のある会社を選ぶべきです。同じ新築物件でも、安普請で設備も貧弱な物件では入居者の居住満足度が低くなり、結局家賃の値下げや空室に悩まされることになります。その会社が過去に分譲した物件を実際に見て、品質や入居状況、管理状況、管理費や管理受託のシステムなども確認しておく必要があります。
また、その不動産会社の投資に関するスタンスを見極めることも重要です。売ればそれでおしまいなのか、パートナーとして末永く付き合ってくれるのか。それによって物件を所有している間の管理・運営状況は大きく変わってきます。
[図表]中古と新築での物件購入時のポイント
「新築プレミア」がつく東京、一方京都では…
賃貸住宅の需給の歪みが生じている京都は、東京や大阪に比べて、賃料が下がりにくい傾向があります。たとえば、私の会社で過去に分譲した、烏丸三条にある築13年の物件の場合、現在でも新築当時と同じ家賃が維持できています。少し中心部から離れた場所にある物件でも、1000~2000円程度の下落幅に収まっています。
一方、東京の場合は、新築から入居者の入れ替えが発生する度に5000円から1万円という幅でどんどん家賃が下がっていきます。また、今はインターネットで家賃相場がすぐにわかってしまうので、契約更新の時に入居者側から「賃料を募集中の他の部屋と同じ値段に下げてほしい」というような値下げ交渉が入ることもあります。そういう交渉は、京都ではほとんど聞きませんし、更新時でも家賃はほとんど下がりません。
東京などでは好立地物件の場合、ワンルームでも「新築プレミアム」で13万円くらいの家賃設定になっています。しかし、新築でなくなる2回目の入居者からは12万5000円、その次は11万8000円、と周辺相場と同等まで下がっていきます。新築時のプレミアム価格から、築年数相当の適正な家賃に収斂していくわけです。
しかし投資家にその認識がなければ「最初に聞いた想定家賃と違う。こんなに家賃が下がった、どうしてくれるんだ!」となります。確かに、新築時の家賃、13万円を前提にして利回り計算をして、そこからの逆算で物件価格が決まっていたら、長期にわたる投資計画にずれが生じるので投資家は困ります。
このような事情もあり、東京では中古の投資用マンションのほうが人気です。新築プレミアムが消えている分、物件価格は実質的な家賃相場を反映した価格となっており、お買い得だという判断です。
京都の物件は、新築でも「新築プレミアム」による家賃のかさ上げがほとんどありません。そのため、長期的な視点に立った投資判断や投資計画にあまりブレが生じません。ですから後から「騙された」と怒る人もいませんし、実際にやってみて、納得した上で「次も新築マンションが欲しい」というリピーターのお客様が多いのです。
ただしこれは、裏を返せば新築時の家賃が相対的にあまり高く設定されにくいということにもなりますので、京都不動産の新築物件を購入する前には、周辺の家賃相場は事前に確認しておくとよいでしょう。