前回は、県外から京都不動産を購入する際、融資は活用できるかどうかについて紹介しました。今回は、敷金、礼金、広告料の相場など京都不動産特有の賃貸事情について紹介します。

京都の物件の「広告料」は通常1ヵ月分

賃貸経営の成否のカギを握るのは、物件の管理運営を委託している管理会社です。特に管理会社の客付け能力は、入居率を大きく左右します。これまで京都不動産の投資メリットと物件の特殊性を紹介してきましたが、管理面でも他地域と異なる点を紹介します。

 

全国的に厳しさを増す賃貸市場ですが、その中でも京都市はまだ貸し主優位な都市だと言われています。京都ならではの交通事情や単身者が多いという背景もあり、他地域とはまた違った賃貸事情を有しています。なかでもマンションオーナーとして知っておきたい京都ならではの諸事情をご紹介します。

 

●敷金、礼金、更新料

東京と同じく敷金、礼金、更新料があります(なお、大阪では通常更新料というものはとりません)。昔から更新料があるのが東京と京都の特徴と言われてきましたが、近年では高額の更新料が判例で否認されたこともあり、避ける傾向にあります。

 

●広告料

大都市圏賃貸入居者をつけるための競争が苛烈で、中には賃貸付けのために多額の広告料を必要とする地域もあるようです。なぜなら、物件数が多いからです。

 

一方、京都では、通常広告料は家賃1カ月分です。特に上乗せを要求されることはありません。

大きな問題にならない駐車場の有無

●バスと地下鉄

京都に地下鉄の鉄道網が整備されたのは比較的新しく、1981年に烏丸線北大路―京都間が開業したのを皮切りに、区間と路線を拡張してきました。

 

それまで市民の足といえば、市バスが一般的でした。京都市内はバス網がとても細かく張りめぐらされており、たとえば立命館大学に行く場合にも複数のルートがあるので、バスを利用する学生の賃貸住宅の選択範囲は、かなり広域にわたります。現在でもバスは市民の日常の足としてよく利用されており、地下鉄の駅から距離があっても、京都市では致命的な欠点にはなりません。

 

この市バスがあるせいで、京都の地下鉄の利用が伸びず、開業以来ずっと赤字だったといわれています。観光客が増えたので、最近やっと黒字になったようです。

 

地下鉄沿線はやはり人気があるエリアです。誰でも住めるなら四条烏丸、河原町、四条河原町などがいいに決まっていますが、予算に限りがあるなかで沿線にこだわると見つかりませんので、対象を全域に広げながら、自分に合った賃貸物件を探すケースが多いようです。

 

●駐車場

京都では賃貸住宅に駐車場は必須ではありません。実際、私の会社で販売しているワンルームマンションは、最低限来客用をつけているだけですが、問題なく埋まっています。地方都市では「1人1台、駐車場が必須」という地域も多いので、その点も京都の特色だと言えるでしょう。

 

極論ですが、京都市側は「京都市にあまり車は乗り入れないでほしい」という方針です。四条通も二車線だったものを片側一車線ずつにし、その分歩道を拡張しました。京都市は道が非常に細く、移動手段としての車は、あまり利便性がよくありません。その割に駐車場の賃料が高く、月額3万~4万円くらいです。

 

市民は徒歩かバス利用がメインで、自転車利用も多いです。特に大学生は自転車通学の人が多いので、京都大学などに行くと膨大な数の自転車があります。

本連載は、2017年3月17日刊行の書籍『誰も知らない京都不動産投資の魅力』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

誰も知らない京都不動産投資の魅力

誰も知らない京都不動産投資の魅力

八尾 浩之

幻冬舎メディアコンサルティング

近年、不動産投資人気が過熱しており、将来の年金不安や資産運用など財テクの必要性から不動産投資を始める人が増えてきています。しかし、ブームが起こると競争が激化し、都市部では価格の高騰や建築コストの増加でマンション…

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