全く人気がなくなった「三点ユニット」のワンルーム
京都で現在よく見かける単身者用マンションは、トイレと風呂が同室になった三点ユニットの16~20㎡程度のワンルームマンションです(2016年12月時点)。このタイプの多くはバブルの頃に建てられた物件で、当時は最新設備で「ホテルライクな生活ができる高級マンション」といううたい文句で分譲されていました。
しかし、三点ユニットは今では全くの不人気です。こうした物件の現在の家賃相場は5万~6万円となっており、主に学生が住んでいます。このスペックですと、やはり今の社会人単身者のニーズは満たせず、ハイグレードなマンションは高い家賃でも入居者が殺到するのです。
社会人単身者用の場合は最低限、風呂トイレ別で、広さも25㎡以上は欲しいところです。家賃は7万~8万円。セキュリティも重視されます。「少し高いけど、やっぱりいいよね」と入居者に言われるような物件です。
求められる設備はハイグレードなものになります。また、宅配ボックスや24時間ゴミ出し可能など、多忙な生活をサポートするサービスがあると喜ばれます。
学生だけを狙うのであれば、大学の近くに鉄骨か木造のアパートを建てて家賃6万円くらいで貸せばいいのですが、私が最もお勧めしたいのは、社会人をメインにした、こうしたハイグレードなマンションタイプです。
そして実は、このような物件にも学生入居者は一定数集まってきます。なぜなら裕福な家の学生が入居してくるからです。親は自分の子の安全のためなどでセキュリティのしっかりしたハイグレードなマンションを借りるケースが少なくないのです。
長く安定した賃貸経営を行うためには、ターゲットの間口が広く競争力のある物件であるほど有利です。これから新しく京都物件を購入される方には、目先の利回りに惑わされず、大企業勤めの単身社会人のニーズに応えつつ、裕福な家の学生をターゲットとするハイグレード物件を選ぶべきです。
[図表1]賃貸住宅には必需だと思われる設備
京都にはあてはまらない「駅チカ物件」のセオリー
不動産は何よりも立地が一番重要です。通常、不動産投資においてどんな地域であってもまず外れることのないであろう「駅チカ」物件。しかし、この「駅チカ」物件のセオリーは京都では当てはまりません。
京都市内においては、さきほどのターゲットである社会人や学生は実は通勤・通学にJR京都駅をほとんど利用していません。また、JR以外では阪急電車と京阪電車が乗り入れていますが、この線は京都から大阪方面への移動で利用されることが多く、通勤・通学用として頻繁に利用されるケースはそれほど多くありません。
京都市内の社会人や学生の移動手段は地下鉄やバス、もしくは自転車や徒歩ということがほとんどです。
しかし、地下鉄に至っては一駅間の距離が短く、市内であればどこにあっても「駅チカ」のようなものです。すると必然的に人気エリアは市内の住みやすいエリアで、会社や学校が近いところになります。具体的には、大手企業が多く本社を置く「西院」エリアと学生の多い「左京区」エリアの両方を取り込める場所などはかなり人気の物件になります。
新規案件の開発が難しいなか、需要のある立地は値段も急騰しており、物件も二極化して勝ち組、負け組がはっきりしています。社会人の単身者と裕福な学生、その両方をターゲットにする場合は、妥協せず相応の立地を選ぶ必要があります。
参考までに、図表2は、当社が今まで京都市内で開発し分譲した投資用マンションの所在地です。当社の分譲した物件、全31棟1511室の入居率は98・7%(2016年6月現在)。ほぼ満室稼働が続いています。
[図表2]べラジオシリーズの分布図