今回は、駅から徒歩20分以上の物件の「客付け」を成功させる方法を見ていきます。※本連載は、株式会社リーシングジャパン代表取締役・沖野元氏の著書『大家さんのための客付力』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、客付けを成功にさせるために必要不可欠な、大家の営業戦略を紹介します。

ポータルサイトは「徒歩20分」までの設定しかない!?

前回の続きです。

 

ポータルサイトでなかなか集客できない物件もあります。それは駅から徒歩20分以上の物件です。

 

通常はどのポータルサイトも徒歩20分までの設定しかありません。「バス便」ということになるのですが、わざわざバス便で検索する人もいないでしょう。ですから最寄駅から徒歩で20分以上の立地の物件というのは、ポータルサイトに掲載してもほとんどヒットしないのです。

不動産会社の営業マンに「物件の魅力」を直接アピール

では、そんな物件はもう救いようがないのでしょうか。そんなことはありません。バス便立地でもしっかりと満室にしているという大家さんがいます。

 

林浩一さんは東急田園都市線「青葉台」駅から徒歩約40分の立地に築3年になるアパートを所有されています。ちょうどそのアパートが建築されるころ、林さんは私が渋谷で開催していた大家検定講座を受講されました。それが、私と林さんとの出会いだったのですが、テキストに市販のカバーをして大切にされていたのが印象に残っています。

 

アパートが完成するころになると、林さんは募集チラシをご自身で作成し(それをパウチするための機器も購入され)、最寄駅だけでなく周辺の駅の不動産会社に客付けの依頼に回りました。

 

その数は100件以上とのことです。不動産会社の営業マンに直接物件の魅力をアピールしたのです。物件は北米の瀟洒なアパートをイメージして設計されただけあって、お客さまに見ていただければ、気に入る確率が高いものでした。

 

営業マンの多くは、実際に物件を見に行ってその魅力に気付き、希望条件から少々外れるお客さまにも紹介したりしました。その結果、林さんのバス便立地の物件はわずかの間に満室になったのです。その周辺には、ハウスメーカーによって建てられたたくさんのアパートの空室があるにもかかわらず、です。

 

これは林さんの努力のたまものですが、その戦略が正しかったことを示しています。つまり、バス便立地なので通常のポータルサイトでの検索には引っかからないだろうと予測し、不動産会社の店頭に来たお客さまに直接紹介してもらう方法をとったのです。そのために、自分で魅力的な募集チラシを作成したのも効を奏しました。

 

駅から遠いから空室が埋まらないと思っている大家さんには、この林さんの例が良いヒントになるでしょう。

大家さんのための客付力

大家さんのための客付力

沖野 元

週刊住宅新聞社

本書では、今まであまり明かされることのなかった不動産賃貸の仕組みを、わかりやすく解説し、「大家検定」人気講師が17年間培ってきた満室にするノウハウを大公開しています。 今まで空室対策を行っても効果がなかなか出ない…

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