今回は、専業大家に求められる「コミュニケーション」の能力について見ていきます。※本連載は、株式会社リーシングジャパン代表取締役・沖野元氏の著書『大家さんのための客付力』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、客付けを成功にさせるために必要不可欠な、大家の営業戦略を紹介します。

人と接しないと、コミュニケーション能力は落ちていく

大家というのは孤独な仕事です。大家専業でやっている場合はなおさらです。

 

気を付けなければならないことは、「コミュニケーション能力」というのは、他人と接していないとどんどん落ちてくるということです。専業大家さんの場合は、これに陥りやすい状態にあります。1日のほとんどを身内とだけ接しているケースも珍しくないからです。

 

その点、大家業以外に本業を持っている場合は、多くの人と接する機会があります。たとえばサラリーマン大家さんがその典型です。サラリーマン大家さんと専業大家さんを比べると、やはりサラリーマン大家さんのほうが、コミュニケーション能力という点で一歩抜きんでている印象です。

 

では、専業大家さんはどうすれば良いのでしょう。

 

一番良いのは、他に人と接する仕事を持つことです。それができないようであれば、できるだけ外で多くの人と意識して接するようにすると良いでしょう。20代~40代の若い大家さんの場合は、特に気を付けてください。もしも今サラリーマンと大家という二足のわらじを履いているようであれば、できるだけサラリーマンをやめないことです。「セミリタイア」などという耳あたりの良い言葉に惑わされないで、二足のわらじを続けることをおすすめします。

 

かつて私の知人で、株式の売買によって生活をしている男がいました。彼は株式で巨額の差益を稼ぎながら、1日中誰とも話す機会がないと言ってスーパーでアルバイトを始めました。セミリタイアなんてそんなものです。結局人間は一人では生きてはいけないのです。

管理会社とギクシャクした挙句、契約解除されたケース

これは私の友人の管理会社役員から聞いた話です。

 

仮にAとします。Aは複数の物件を所有しているCさんと十数年来の付き合いで、Cさんの物件すべてを管理していました。

 

ところがこのCさんという人は、自分の気に入らないことがあるとすぐにキレてしまうそうです。さらに、しばしば管理会社を無視するようなことをするそうなのです。入居者に自分の連絡先を渡して、何かあれば直接連絡をさせるようにすることは序の口です。退去の立会い、リフォーム業者の手配は自分でやり、精算業務のみ管理会社に頼むというやり方をしていました。

 

こうすると管理会社が楽だと思われますか? とんでもない! 真逆です。中途半端に口を出されるとやりにくくてしょうがないのです。

 

しばらくAは陰でCさんの尻ぬぐいのようなことを我慢してやり続けていたそうです。それでもCさんは管理会社とのコミュニケーションを軽視し続けたため、Aはついに管理契約の更新をしないと通達しました。

 

その後、管理契約が切れた後もCさんは「あれをしてくれ」「これをしてくれ」と言ってきたそうですが、Aは一切を無視したそうです。

 

管理会社から管理契約を解除される大家はほとんど聞いたことがありません。自分でやりたいなら管理など頼まないことです。また、お互いの役割分担について取り決めをして、そのとおりにするなら問題ないでしょう。

 

Cさんのような方はめったに聞きませんが、それに近いことをして管理会社との関係がぎくしゃくとしている大家さんは多いのではないでしょうか。管理を任せていて、もし何か直接やれることがあってやりたい場合は、一応管理会社に話を通しておいたほうが良いでしょう。そうでなければ、自主管理をされることです。

 

繰り返しますが、管理会社は中途半端に口を出されると非常に仕事がやりにくくなります。ですから、普段からコミュニケーションを意識して取られることをおすすめします。

大家さんのための客付力

大家さんのための客付力

沖野 元

週刊住宅新聞社

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