大家さんが業者営業するための「3点セット」とは?
前回の連載の③で触れた、不動産業者に提示する3点セットとは、次のものになります。
1.募集チラシ
2.周辺マップ
3.募集要項
私はこれらを名付けて「大家さんの業者営業3点セット」と呼んでいます。
ではそれぞれを説明します。
まず「募集チラシ」とは、文字どおり自分の物件の募集図面のことです。この作り方については後ほど説明します。
続いて「周辺マップ」とは物件を中心としたオリジナルマップです。
「募集要項」とは大家さんの募集要件をA4の紙1枚にまとめたものです。
では、これら3点セットの作り方を説明します。
とにかく一度、自分で募集チラシを作ってみる
①募集チラシの作り方
募集チラシは、通常は不動産業者が作成するものです。しかし、あなたは自分の物件の募集チラシを見せてもらったことはありますか。大半の大家さんは見たことがないと言います。まずその時点で問題があります。
なぜならチラシの効果を確認していないからです。募集チラシはあなたが思っている以上に、お客さまの動向を左右するものです。募集チラシはお客さまに対するセールスレターです。極端ではなく、その募集チラシの出来次第でお客さまが内見するかどうかが決まるのです。もしも不動産業者の作ったあなたの物件の募集チラシが、あまりお客さまにアピールするものでないとした場合はどうしますか?
そういう場合は不動産業者に作り直してもらうか、あなたが作り直すか、です。不動産業者に作り直してもらうにしても「こんな感じに」というようにイメージを伝える必要があります。ですから、とにかく一度は手書きでも構いませんから自分で募集チラシを作ってみましょう。次の図表を参考にしてみてください。
[図表] 募集チラシの例
こんな募集チラシを作るのに、パソコンが得意なら次のような専用ソフトを使うと良いでしょう。
●間取りっど(有限会社ライラックシステム)
●パワーキャンバス(株式会社インパルス)
●マイホームデザイナー(メガソフト株式会社)
これ以外にもさまざまなソフトがあります。価格や使いやすさで選んでみてください。また、パソコンが苦手であれば先ほども述べたように手書きでも構いません。実際、手書きの募集チラシは味があって、インパクトがあります。ですからパソコンが使える人もわざと一部を手書きにすることがあるほどです。
中央上段に「自分の物件の強み・特長」を明記
募集チラシの例にあるように一番重要なことは、あなたの物件の「U・S・P」を見い出し、それをチラシの一番目立つ中央上段に書くことです。
「U・S・P」とはUnique Selling Propositionの略で、わかりやすく言うと「他にはない自分の物件の強み・特長」になります。これはよく考える必要があります。どこにでもあるものでは強みになりません。自分に次のような質問をして答えをメモし、それらを組み合わせて作ります。
「U・S・P」の見つけ方
●このエリアの特徴は何か
●このエリアで物件はどこに位置しているか
●物件の周辺にはどのような利便施設があるか
●この物件の外観はどのような感じか
●この建物の中で募集中の部屋はどこに位置しているか
●この物件の主要なサービスは何か
●どんな設備が付いているか
●日当たりはどうか
●どんな間取りか
●使い勝手はどうか
●全体の雰囲気はどうか
●どんなデザインか
●この物件に住むことによって、お客さまはどんなメリットを得られるのか
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この他にも探せばいろいろと出てくるでしょう。とにかくこれらの質問に答え、その組み合わせを考えるうちにその物件にしかない強みを見い出し、それをもとにしてキャッチコピーを作るのです。
そしてこれはあまり言われていないことですが、「U・S・P」だけでなく物件の「ウィークポイント」も把握し、それを募集図面に記載します。
そんなことしたらお客さまが逃げてしまうと思われますか。お客さまは馬鹿ではありません。どんな物件にも「良いところ」と「悪いところ」があるのがよくわかっています。「何もかもが良い」というパーフェクトな物件などありません。お客さまは「ウィークポイント」も把握した上で判断をしたいのです。ですから、それをあらかじめ募集図面に記載することは、逆に信頼性を高めることになるのです。
いつも言っていることですが、あなたの物件を気に入ってくれるお客さまは一人いれば良いのです。また、例にあるようにただ間取図を載せるだけではなく、その特徴をマンガの吹き出しのようにしてアピールするのも良いでしょう。
もう一つのアイデアとして、大家さんなり営業担当者なりの似顔絵イラストを入れてそこに吹き出しを入れ、それぞれの生の声を入れることも効果的です。ポイントは全体を適度に「にぎやかにする」ところにあります。
これらのことに留意して、ぜひ募集チラシを作ってみてください。また、作ったら家族などの第三者に見てもらうことをお勧めします。客観的な目で見てお客さまにアピールするものかどうかを確認します。