前回は、海外進出を検討する日本企業が考えるべき「WTP」を紹介しました。今回は、価格ではなく「付加価値」で勝負した日本企業の成功事例を見ていきます。

「品質」で現地アパレルとの差別化に成功したユニクロ

日本企業は、企画開発や製造販売にどうしても人件費の高い日本人がかかわらざるを得ないため、海外市場における日本企業は、クオリティーやユニークさを打ち出して価格競争に陥らない戦略を取る必要があるのです。

 

日本では低価格のイメージがあるユニクロや無印良品も、海外ではブランドイメージの高い、高付加価値企業になります。

 

アジアにおけるユニクロは、安売りの店ではなく、品質が良いのにそれほど高くない、コストパフォーマンスの高いブランドというイメージになっています。つまり、ユニクロはWTPを高めることで、低価格の現地のアパレルとの差別化を生み出し、競争に勝っているのです。

 

ユニクロの例は、人件費の安いアジア諸国での例ですが、アメリカやヨーロッパやアフリカでも、WTPを追求しなければならないのは同じことです。

「アフターサービス」で市場に食い込んだダイキン工業

価格を下げることも重要ですが、ブランドイメージとか、アフターフォローとか、現地のニーズに即した機能とか、付加価値で勝負するほうが、日本企業の特性が活かせると思います。

 

その一つの例としては、日本では当たり前のアフターサービスがあげられます。アジアではほとんど購入後のサービスが根づいていません。現地の企業からものを買う場合は、製品保証がないのは当たり前で、壊れたら買い替えるのが普通です。安いものであればよいのですが、産業機械などの高額製品の場合、日本企業の安心感が何よりもWTPにつながります。

 

たとえば、ダイキン工業のエアコンは、24時間365日いつでも問い合わせや修理依頼を受け付けるという、至れり尽くせりのアフターサービスが中国でも受けて、市場に大きく食い込むことができました。

 

当然、現地企業の製品より価格も高くはなっているのですが、法人向けエアコンですから、価格より保証を重視するユーザーが多かったのです。

国内頭打ち商品で利益を生み出す 海外進出戦略

国内頭打ち商品で利益を生み出す 海外進出戦略

田中 義徳

幻冬舎メディアコンサルティング

国内では売上・利益ともに頭打ちで生き残りが厳しく、海外進出を試みても撤退を余儀なくされる――中小企業はどこに活路を見出せばいいのでしょうか。 海外のマーケットでは、日本国内と同様のマーケティング、営業手法で成果…

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