前回は、合弁企業を例に「海外拠点」のコントロールの難しさを紹介しました。今回は、企業の海外進出成功のポイントを見ていきます。

海外進出だからといって構える必要はない

海外進出というと、まるで社運を賭けた一大プロジェクトのように、大きく捉えてしまう経営者が多いものです。

 

それは、決して間違いではありません。海外進出は、国内の事業を拡大することに比べれば各段にコストも時間もかかります。それはなぜかというと、日本が島国であるために海外が物理的に遠く、また、言葉も文化も異なる国の市場に慣れるまでに時間がかかるからです。

 

しかし裏を返せば、外国人といっても同じ人間です。人生で感じる喜怒哀楽の質や、最低限の衣食住を必要とすることなど、日本人とたいして変わりはありません。

 

海外進出というとつい身構えてしまって、コンサルティング会社やコーディネーターに高いお金を払わなければならないと考える経営者もいるようですが、最初から莫大な金額を投資してしまうと、「絶対に失敗できない」と肩に力が入り過ぎてしまいます。

 

ビジネスに失敗はつきものですし、小さな失敗をたくさんしないと、どうしたら成功するのかが見えてきません。成功するためには失敗が必要なのだと思います。

 

海外進出といっても、あまり構えることなく、まずは自社単独で、いろいろな製品やサービスの情報を小出しにして、様子を見るのも一つの手です。もし、その製品やサービスに十分な魅力があれば、そのうちに、どこかの誰かが興味を示してくれるはずです。そこを糸口に、ビジネスをだんだんと拡大していくのが正攻法なのだと思います。

興味を示してくれた顧客候補には速やかにアポを

たとえば、海外の展示会や商談会への出展は、自社単独でも行うことができる、初めの一歩です。言葉がわからなければ通訳を頼めばいいし、現地の事情を知りたければコーディネーターを雇えばいいのです。

 

そして、興味を示してくれた顧客候補に対しては、必ずすぐにアポイントメントをとって、現地市場の詳しい話を聞くことにしましょう。そこから、製品のローカライズ案や、マーケティング案を得ることができるかもしれません。

 

展示会だけ参加してすぐに帰国してしまい、せっかくの現地市場、現地顧客との接点を次の展開につなげられないケースをよく見かけますので、ご注意ください。

 

現地の人の意見はいつだって重要です。日本で10人が「これは売れる」と言うよりも、現地で3人が「これは売れる」と言ったほうが信用できます。それくらい、日本と海外とでは市場に違いがあります。

 

もし、御社の売りたいものが、製品ではなく、現地で人を雇って店舗を開かねばならないサービスである場合は、もう少し市場調査に時間がかかるかもしれません。

 

それでも、やるべきことは同じです。小さく自社のサービスを海外に輸出していって、反応を一つひとつ確かめながら、いけそうなところに投資を行うのです。

国内頭打ち商品で利益を生み出す 海外進出戦略

国内頭打ち商品で利益を生み出す 海外進出戦略

田中 義徳

幻冬舎メディアコンサルティング

国内では売上・利益ともに頭打ちで生き残りが厳しく、海外進出を試みても撤退を余儀なくされる――中小企業はどこに活路を見出せばいいのでしょうか。 海外のマーケットでは、日本国内と同様のマーケティング、営業手法で成果…

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