電力自由化――電力会社を切り替えた個人の割合は?

今回は、電力自由化により、電力会社を切り替えた個人はどの程度いるのか、グラフをもとに見ていきましょう。※本連載では、一般社団法人エネルギー情報センターの理事で、エネルギーとビジネスに関する執筆・講演活動なども行う江田健二氏の著書、『エネルギーデジタル化の未来』(エネルギーフォーラム)より一部を抜粋し、電力自由化の現況と、その将来性を探ります。

電力会社を切り替えた家庭は「全体の4%程度」

戦後からこれまでの日本の電力業界の流れについて理解していただいたところで、2016年4月に始まった電力自由化から、現在の利用状況を見てみましょう。国内の世帯数は、家庭や小規模店舗を合わせると約8000万世帯です。

 

そのなかで、今回の自由化を機に電力会社を切り替えたのは、全体の4%程度で、234万世帯となります(2016年11月末現在)。

 

「どのようなメリットがあるのか?」「停電などの心配が本当にないのか?」「どこの電力会社がよいのか迷ってしまう」などの素朴な疑問から、なかなか切り替えに踏み切れず、まずは世間の様子を見ようという家庭が多いようです。

 

電力会社を切り替えた家庭のうち、半数以上は関東在住の方、次いで関西地方です。グラフで見てみると、全国の234万件のうち、関東は132万件、関西では47万件です。対して中国地方は1件、沖縄県では0件です。

 

 

地域によって、電力自由化に対する消費者の動きに大きな差があることがわかります。この地域差を生んだ大きな理由としては、新規電力会社の参入が一番多いのが首都圏である、ということが挙げられます。

 

首都圏では、さまざまな会社が電力販売を始めたので、消費者が、その宣伝広告などを目にする機会がとても多く、切り替えを検討するチャンスが多いのです。過日、仕事で鳥取県に行くことがありましたが、都内に比べて新電力会社の広告を目にすることがとても少なく感じました。ちなみに鳥取県は、首都圏と比べて選択できる電力会社の数が5分の1程度と、まだまだ少ない状況です。

いずれは会社や契約の切り替えもずっと手軽なものに

では、これから果たして電力会社の切り替え率は高まっていくのでしょうか? 3年、5年、10年が経過し、前述のような切り替えにあたっての素朴な疑問が解消され、電力会社を切り替えても問題ないということが家庭に広く浸透していくと、より切り替える家庭は増加するでしょう。

 

例えば、引っ越しを機会に電力会社を変える家庭や、1年ごとに利用料金を見直して切り替える家庭なども出てくると思います。

 

携帯電話やケーブルテレビの契約と同じように、「今回は、この電力会社にしてみよう」「次回は、あの料金プランにしてみよう」と考える人が増えるでしょう。

一般社団法人エネルギー情報センター 理事

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)に入社。エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクトなどに参画。アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年に起業後、RAUL(ラウル)社を設立。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人エコマート運営委員、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、現職。
「環境・エネルギーに関する情報を客観的にわかりやすく広く伝えること」「デジタルテクノロジーとエネルギー・環境を融合させた新たなビジネスを創造すること」を目的に執筆・講演活動などを数多く実施。
主な著書にAmazonベストセラー第1位(エネルギー一般関連書籍部門)となった『エネルギーデジタル化の未来』(2017年、エネルギーフォーラム)のほか、『3時間でわかるこれからの電力業界―マーケティング編―5つのトレンドワードで見る電力ビジネスの未来』(2016年、good.book)など。

著者紹介

連載ついに始まった電力自由化――その現況と将来性を探る

エネルギーデジタル化の未来

エネルギーデジタル化の未来

江田 健二

エネルギーフォーラム

「エネルギーのデジタル化は、今世紀最大のビジネスチャンス」と書くと、読者の皆さんのなかには、少し大げさに感じる方もいるでしょう。しかし、エネルギーにおけるデジタル化の波は、これまでのエネルギーの作られ方や利用方…

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